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アール・イー・アイとザッポスから学ぶカスタマーサービスビデオの重要性

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イーコマースビデオは大きく3つの種類に分けられる。プロダクトビデオ、カスタマーサービスビデオ、ユーザーエクスペリエンスビデオの3つだ。プロダクトビデオは、商品動画と呼ばれ、今ではイーコマースビデオの代名詞のような存在になってる。そのきっかけを作ったのは、何と言ってもこのブログでも度々紹介しているザッポスだろう。ザッポスの5万点近い商品動画は、他のオンライン小売事業者にとって、大きな目標とも言える存在になっている。

 ● イーコマースビデオの種類

   ① プロダクトビデオ
     ・製品やサービスを紹介する商品動画など。

   ② カスタマーサービスビデオ
     ・返品方法や商品の使い方を教える学習動画など。

   ③ ユーザーエクスペリエンスビデオ
     ・商品の使用感などの感想をユーザーが投稿する経験動画など。

訪問者数やコンバージョンを増やすという直接的な効果が見込めるプロダクトビデオ(商品動画)ばかりが注目されがちだが、顧客との信頼関係を築くという意味では、今日紹介するカスタマーサービスビデオの方が、プロダクトビデオよりも効果的かもしれない。カスタマーサービスビデオは、顧客に安心と信用を与え、良好な信頼関係を長期間に渡って築くために重要となる。カスタマーサービスビデオを導入して、顧客と長期に渡る信頼関係を築くことに成功した例としては、デルやザッポスなどが有名であるが、今回はREI(アール・イー・アイ)とザッポスの事例を中心に、イーコマースサイトにとって、カスタマーサービスビデオがいかに重要であるかということを明らかにしたい。

【1】 REI(アール・イー・アイ)はカスタマーサービスビデオを教育に活用

アール・イー・アイは、米国最大のアウトドア関連用品のショップを展開するオンライン小売事業者で、イーコマースサイトにかなり力を入れている企業としても有名である。

※ アール・イー・アイのイーコマースサイト ⇒ http://www.rei.com/

アール・イー・アイのカスタマーサービスビデオは、上部タブの左から4つ目にある「LEARN」に配置されている。「LEARN」のページが表示されたら、カーソルを下の方に移動させてほしい。「Outdoor How-To Videos」という表記がすぐに見つかるはずだ。そこにカスタマーサービスビデオが配置されている。「See all REI how-to videos.」をクリックすると、カスタマーサービスビデオの専用ページに切り替わり、全てのHow-Toビデオを視聴することができる。

How-Toビデオの内容も素晴らしい。どのビデオも、アール・イー・アイでアウトドア用品を買った顧客の役に立つものばかりである。ブーツを暖かく履くためのコツ、マウンテンバイクに乗る時に必要な装備、子供と一緒に自転車に乗る時の注意事項など、どれも実用的だ。アール・イー・アイの顧客だったら、このHow-Toビデオを見るためにだけウェブサイトを訪れるのではないだろうかと思ってしまうほどである。

アール・イー・アイのカスタマーサービスビデオは、商品を購入した顧客を、アール・イー・アイのファンであることを約束させるために十分な役割を果たしている。顧客は、このカスタマーサービスビデオの存在を知ることで、アール・イー・アイで購入したことを誇らしく思い、これからもアール・イー・アイの顧客であり続けようと思うはずである。

※ こちらで全てのカスタマーサービスビデオが視聴できる ⇒ http://www.rei.com/video

【2】 ザッポスはカスタマーサービスビデオを顧客との関係強化のために活用

ザッポスは、カスタマーサービスビデオを顧客との関係強化のために活用している。しかも、その活用のし方がバラエティに富んでいる。このブログでもう何度も繰り返し述べてきたことだが、ザッポスのイーコマースビデオにおける代名詞ともなっているプロダクトビデオ(商品動画)は、いい意味でワンパターンを続けている。ところが、カスタマーサービスビデオの方は、何が飛び出して来るかわからない面白さがある。

ザッポスのカスタマーサービスビデオは、イーコマースサイトのいたる所に配置されているが、個人的にお薦めしたいのはブログ・ザッポス・ドットコムだ。いろいろな種類のカスタマーサービスビデオが、ブログ・ザッポス・ドットコムに用意されている。ブログ・ザッポス・ドットコムは、ちゃんとカテゴリー別に分けられているので、目的のカスタマーサービスビデオがすぐに見つかる。

※ ブログ・ザッポス・ドットコム ⇒  http://blogs.zappos.com/

● ザッポスTV(Zappos.TV) http://blogs.zappos.com/blogs/zappos-tv

ザッポスTVは是非チェックしておきたいブログだ。内容は、ザッポス社内の様子や社員の日常を撮影したもので、ザッポスがどんな企業文化を持っている会社なのかがすぐにわかる。ざっと紹介すると以下の通りだ。

 ・セクシィ・サックス・マン http://www.youtube.com/watch?v=SFLdsOiNz0o&feature=player_embedded
 ・マイケル VS ジェームス http://vimeo.com/21071020
 ・Inside R-Desk http://vimeo.com/20481111

インサイド・ザッポスというシリーズ名の通り、ザッポス社内のある意味クレイジーな部分を露呈した内容になっている。こんなビデオのどこがカスタマーサービスビデオなんだと思われるかもしれないが、これこそがカスタマーサービスビデオの見本だと言っていいだろう。顧客にしてみれば、自分がいつも買い物をする会社の様子がわかるということは、それだけで安心感を抱くものである。顧客との関係を強化する上で、これほど効果的なカスタマーサービスビデオは他にないと言っていいだろう。

● CEOとCOOのブログ(CEO and COO Blog) http://blogs.zappos.com/blogs/ceo-and-coo-blog

CEOとCOOのブログも、ザッポスにとって重要な意味を持つカスタマーサービスビデオになっている。顧客にしてみれば、自分がいつも買い物をするイーコマースサイトの経営トップが何を考えているのかがわかるだけで、その会社に親近感を覚えるものである。

 ・ザッポスはダウンタウンへ行く! http://www.youtube.com/watch?v=Um82O3YIpT4&feature=player_embedded
 ・ジェフ・ぺゾスがアマゾンとザッポスについて語る http://www.youtube.com/watch?v=-hxX_Q5CnaA&feature=player_embedded
 ・社員全員参加のイベント http://www.youtube.com/watch?v=8W8SA3mbAC4&feature=player_embedded

ザッポスTVと同じように社内の様子がわかるビデオでありながら、ザッポスTVより規律と統制が取れているせいか、ザッポスTVとはまた違った面白さがある。企画自体は、かなり綿密な計画の基に考えられていることがわかる。

● ハウ・ツー(how-to) http://blogs.zappos.com/how-to

ハウ・ツーには、タイトルの通りいろいろなハウ・ツー・ビデオが配置されている。これもいくつか紹介しておきたい。

 ・ネクタイの正しい結び方 http://www.youtube.com/watch?v=Z91l51_6zTQ&feature=player_embedded
 ・正しい頭のサイズの測り方 http://www.youtube.com/watch?v=WVNx_beTu2U&feature=player_embedded
 ・正しいテントの組み立て方 http://www.youtube.com/watch?v=dmYHeB7jwaY&feature=player_embedded
 ・正しいブーツのクリーニング http://www.youtube.com/watch?v=ztFfcWpoqFk&feature=player_embedded
 ・ザッポスiPhoneアプリの使い方 http://www.youtube.com/watch?v=8D4PJ6sgzwk&feature=player_embedded

いろいろなハウ・ツー・ビデオがこれでもかと集められている。更新頻度も、最低1週間に1回は新しいビデオがアップロードされており、カスタマーを飽きさせることがない。他のブログのように写真やテキストで代用するようなこともなく、ほとんどの確率でビデオに辿り着くことができるブログだ。


【3】 カスタマーサービスビデオを成功に導く7つの戦略

では、カスタマーサービスビデオを導入して成功に導くためには何が重要なのか、アール・イー・アイとザッポスの事例を参考に、カスタマーサービスビデオを成功に導くための戦略について考えてみた。

① 全て自社生産する

カスタマーサービスビデオこそ自社で制作するべきである。登場してくる人間は社員以外に考えられない。社員のありのままの姿に顧客は安心と信頼を覚える。

② 更新頻度を上げる

顧客は常に新しい情報を求めている。顧客と長期間に渡る信頼関係を築くためにも、更新頻度は上げる必要がある。

③ いろいろな場所に配置する

カスタマーサービスビデオはすぐに見つかるようにしておく必要がある。イーコマースサイト、ブログ、YouTube、フェイスブックなど、あらゆる場所に配置しておくことが重要だ。

④ 意見・感想を求め反映する

カスタマーサービスビデオは、顧客から意見・感想を求めることが重要になります。意見・感想を求め、良い意見・感想はすぐに反映する。これを繰り返すことで、顧客はカスタマーサービスビデオから離れられなくなってしまう。

⑤ ソーシャルメディアと共有できる機能を提供する

顧客が気に入ったカスタマーサービスビデオをすぐに共有できるよう、ソーシャルメディアに簡単に連携できる機能を提供する必要がある。

⑥ 更新情報を顧客に通知する

カスタマーサービスビデオを顧客は待っている。よって、メールやRSSなどを使って、顧客に対して更新情報を確実に通知する必要がある。

⑦ 自由な発想で作る

カスタマーサービスビデオはプロダクトビデオと違ってパターン化する必要がない。時間も、60秒の制約に縛られる必要がない。顧客との関係を強固なものにするためにも、カスタマーサービスビデオには自由な発想が求められる。

【4】 今回のまとめ

カスタマーサービスビデオは、顧客との関係をより強固なものにする効果があることから、考え方によってはプロダクトビデオ以上に重要な意味を持つ。プロダクトビデオのように、できるだけ全ての商品に配置するとか、再生時間を60秒以内に抑えるとかといった制約がない分、プロダクトビデオよりも導入しやすいかもしれない。

カスタマーサービスは、イーコマースサイト事業者にとって、経営の根幹にかかわる重要なテーマである。最高のカスタマーサービスを提供するためには、最高のカスタマーサービスビデオが必要になる。今回の記事をきっかけに、一人でも多くの方がカスタマーサービスビデオの導入に興味を持っていただけたら、これほど嬉しいことはない。

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