動画配信サービス事業者にとってYouTubeは敵ではなくて共存共栄を目指す存在
営業で訪問したお客さま、ベンチャーキャピタル、証券会社、銀行、取引先などいろんな人から一番聞かれる質問。「YouTubeを使えば無料で配信できるのに、なんでお金をはらってまでして御社のサービスを利用するんですか?」
ごもっともである。YouTubeには公式チャンネルというサービスがあって、企業が無料でインターネット放送局を始められるサービスがある。YouTubeの公式チャンネルを利用すれば、企業はとりあえず無料で自社のCMやコンテンツを配信することができるわけだ。
この大変便利なYouTube公式チャンネル、正確な数はわからないが、日本国内でも300社以上の企業がYouTubeに公式チャンネルを開設していると言われている。今のところはテレビ局、レコード会社、新聞社、出版社などマスコミが中心のようで、最近では産経新聞社が産経新聞チャンネルを開設したり、ちょっと変わったところでは今年2月に厚生労働省が開設して話題になった。
また、公式チャンネルとまではいかなくても、YouTubeを利用して自社の商品・製品のプロモーションを行っている企業まで探すとなると、それこそ相当な数に上るはずだ。一方で、それではすべての企業がYouTubeを利用しているかというとそんなことはないわけで、有料のビムーブVIDEOを利用して下さっている企業がいま現在で少なくとも125社存在する。
YouTubeとビムーブVIDEOの関係で言うと、YouTubeとビムーブVIDEOを使い分けている企業とビムーブVIDEOだけを利用している企業の2パターンに分かれる。YouTubeを利用することなくビムーブVIDEOだけを利用している企業は金融、流通、製造業に多い。
YouTubeを利用しない理由として一番多いのが、自社で見れないサイトに配信しても意味がないというもの。B2B2Cに多く、テレビCMを流しているような大企業では、YouTubeは社内からアクセスできないサイトの一つになっている場合が多いらしく、同じ理由から企業内から見てもらえないサービスはたとえ無料でも利用価値がないという意見をよく聞く。
一方で、テレビ局、レコード会社、新聞社、出版社などはYouTubeとビムーブVIDEOを使い分けている傾向が強い。完全なB2Cの場合、YouTubeに社内からアクセスできるかどうかはあまり重要ではないようだ。むしろ目的・用途によって上手くYouTubeとビムーブVIDEOのような有料動画配信サービスを使い分けている。
お客様である角川グループパブリッシング様にインタビューをしてみてそのことを確信した。角川グループパブリッシング様は、広くPRしたい内容はYouTubeを使って配信し、特定のユーザーにPRしたい内容(たとえば著者のインタビュー動画)はビムーブVIDEO使って配信している。目的と用途によって上手く両方のサービスを使い分けている事例の一つだ。著者インタビュー動画は出版業界でもあまり例がなく、業界でもかなり話題を呼んでいるらしい。
角川グループパブリッシング様の事例が示してるいる通り、動画配信サービス事業者にとってYouTubeは決して敵ではない。むしろ、動画配信の普及という大きな目的の実現に向かって共存共栄を目指す存在。
「うちはYouTubeを使って配信しているから有料のサービスは必要ないんだよね」と言われても諦める必要なない。重要なことは、YouTubeでは実現できないことをいかにアピールできるか。相手が考えもしなかったような新しい動画配信の利用方法を提案できるかがポイントになってくる。