「どこでもWi-Fi」を使って、どこでもライブ配信
ブロガーの佐々木さんも取り上げていた、来年の春に発売されるというウィルコムの「どこでもWi-Fi」にかなり注目している。使い方としては、佐々木さんがブログで紹介しているように、無線LANのアクセスポイントがない場所でも、ウィルコムのPHSネットワークを使って、無線LAN対応の携帯ゲーム機でネット対戦ゲームなどを時間と場所を選ばず楽しむといったことが考えられる。ゲームに夢中の子供には欠かせない道具になりそうだ。
ところがこの「どこでもWi-Fi」、子供だけに独占させておくのは少々勿体無い代物である。「どこでもWi-Fi」発売のニュースを目にした時、これはビジネスの世界においても十分使える道具だと直感した。「どこでもWi-Fi」を使って、どこでもライブ配信。もちろん、光並みの回線スピードが保証されていることが前提条件ではあるが。
10月23日に、11月に正式リリース予定の「ビムーブLIVE」というライブ配信サービスを使って、渋谷のクラブ O-nestで行われるCINRA presents「exPOP!!!!」というイベントのライブ配信実証実験を行う。ところが、ライブ配信をする上で一番頭が痛いのが、ライブ配信側のネットワーク環境。ライブ配信を行うにはちょっと心もとないネットワーク環境だったり、そもそもインターネット環境自体がないクラブやライブハウスが意外に多いのが現状なのである。
そういう意味で、「どこでもWi-Fi」は、ライブ配信を行う側にしてみればまさに救世主のような存在に思えてしかたがない。クラブやライブハウスはもちろん、野外ライブの映像もライブ配信することが可能になるし、音楽やスポーツなどのエンタメ系以外にも、企業が主催するイベントや展示会などの映像をライブ配信するなどの用途にも使える。「どこでもWi-Fi」があれば、今までネットワーク回線がないからという理由であきらめていたライブ配信が可能になるのだ。
今は映像のクオリティも心配ない。カメラを3台持ち込んで、臨場感のある映像を送ることももちろん可能。たとえば、HVR-Z1Jを3台入れ、SONYのスイッチャーAWS-G500で切り替えた映像をノートPCから「どこでもWi-Fi」経由でインターネットに接続するといったイメージ。配信されたライブ映像は、ビムーブLIVEが用意した再生プレイヤーを使ってMP4フォーマットで視聴できる。
撮影に必要な設備・コストは、上記でも紹介したオールインワン型のスイッチャーが登場してきたことで、随分簡単・低コストでできるようになってきている。ちょっと前までは、モニターやその他の設備も含めると相当な機材や人間が必要になるためコストが半端じゃなく、簡単に試してみるというわけにはいかなかった。それが、今は信じられないくらいの低コストで実現できる。残る課題はネットワークだったわけだから、そういう意味では「どこでもWi-Fi」に対する注目度は否応なしに高くなってしまう。
VOD形式の動画配信が一般化してきたように、ライブ形式の動画配信も一般化してくるのだろうか。いずれにしても、「どこでもWi-Fi」の発売が楽しみだ。