動画の品質について考えてみた。画質だけじゃないんだ
動画の品質というと、大抵は真っ先に画質のことが云々されます。「YouTubeの画質が最近良くなった」とか、「MPEG4はFLVよりも画質がキレイ」だとがいった具合に。「ビムーブVIDEO」の営業をしていて、一番多い問合わせ・相談もこの画質に関するものです。「WMVとAVIのファイルをアップロードしたいんだけど、もう少し画質がキレイにならないか」とか、「どのファイル形式でエンコードすれば画質が良くなるのか」といった問合せ・相談はホンと多いです。
動画を使って自社の商品・サービスをPRしたいという目的があるわけですから、画質に神経質になるのは当たり前のことです。画質が汚くては、せっかくのCM動画も台無しなわけで、画質の汚い動画はそればかりかむしろ逆効果かもしれません。
じゃあ、画質さえ良ければ動画の品質が良いと言えるのかというと、そんな単純なことでもないわけです。動画の品質を考える上で重要なポイントが3つあると思っています。①画質②撮影・編集の品質③コンテンツの品質の3つです。画質だけが動画の品質を判断する指標値だとしたら、YouTubeがあれだけユーザーの支持を集めるはずがありません。YouTubeは、①は欠けていたものの、圧倒的な②と③があったからユーザーに支持されたわけです。
②の撮影・編集の品質が良い動画というのは、複数のカメラを入れて撮影した映像を、カット割りなどの複雑な編集作業をしたプロの手による動画のことです。初期のYouTubeは、ほとんどの動画がDVDやテレビなどのプロの手による作品だったため、①の品質面が著しく欠けていても②の品質はあったわけです。YouTubeが騒がれ始め出したころ、専門家の間では「あんな画質の悪い映像なんてそのうち誰も見なくなるさ」といった意見も聞かれました。でもユーザーは、①よりも②の品質を求めていたわけです。
③のコンテンツンの品質とは、演じる側のパフォーマンスのことを言います。たった1台のカメラで正面から撮った画質の汚い映像でも、演じる側のパフォーマンスが素晴らしければ見る人は感動します。動画の内容が見ている人の興味の対象である時は、複数台のカメラや過度な編集作業がむしろ邪魔な場合があります。
①と②の品質についてはお金をかければ手に入りますが、③の品質についてはそう簡単には手に入りません。また、③を持っていながら、お金と技術がないばかりに世に出ていないコンテンツもたくさんあります。動画を取り巻く状況は、まだそんなアンマッチな状態です。だから、その橋渡しがしたいです。