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植草甚一が教えてくれた音楽を読むという楽しみ方

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最近、また植草甚一にはまっている。植草甚一という人は、団塊の世代を中心としたジャズファンなら、誰でも一度くらいはその名前を聞いたことがあるというくらい有名な映画・ジャズ評論家で、カリスマは言い過ぎかもしれないが、当時は若者を中心にかなりの影響力を持っていた人だ。

もともとは映画会社東宝の社員だったのだが、49歳になってから突如ジャズにとりつかれ、ジャズや映画の評論を中心に数多くの著作物を残している。昔はジャズ喫茶なるものがあって、ジャズを聴きながら植草甚一の本に読み耽るというのが、流行の最先端でもあった。

言うなれば、サブカルチャーの教祖といったところかもしれない。1979年に亡くなってしまうのだが、約4000枚とも言われている彼のレコード・コレクションは、タモリがすべて買い取ったというエピソードも残っているくらいだ。

一時期絶版になっていた植草甚一の作品だが、三年くらい前に復刻し、今では彼のほとんどの作品を楽しむことができる。特に、代表作でもあるスクラップ・ブック・シリーズなんかは、当時のオリジナルが完璧に再現されていて感動ものだ。

植草甚一の魅力を一言で語るとすれば、音楽には読むという楽しみ方もあるということを教えてくれたことである。聴いたことがないレコードでも、彼の文章を読んでいるとなぜかそのレコードを聴いている気がしてくるし、そのレコードが欲しくなってしまうから本当に不思議だ。

インターネットもiPodもない時代に書かれた文章なので、書いてある内容時代は古いのだが、好きなレコードやジャズマンに対する愛情が時代を超えてヒシヒシと伝わってくる。最近のiPod世代にも読んで欲しい作家のひとりだ。読み終わったら、絶対にジャズが聴きたくなるはず。

たまには、超アナログな時間に身を任せてみるのもいいかもしれない。

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