SNSブームに陰り!?ユーザーはコミュニティよりもブログ
昨日(2月19日)発表されたビデオリサーチインタラクティブの調査によれば、SNSの視聴率が減少傾向にあるという。調査によれば、SNSの年間訪問者数は1104万人で、ブログの年間訪問者数は2687万人とのこと。また、SNSとブログを併用しているユーザーは1057万人。つまり、CGMとしての年間訪問者数は2734万人規模になるという。
さて、肝心のSNSはというと、2006年12月時点のSNSの月間ユニーク推定訪問者数は469万人。2006年1月時点の月間ユニーク推定訪問者数が241万人だったことから、訪問者数に関していえばほぼ倍増したことになる。ここまではいい。
ところが、これが視聴率になると話は変わってくる。SNS訪問者1人あたりの月間平均視聴ページ数は、2006年7月の522.6ページをピークに減少。2006年12月は、約391ページにとどまったという。SNSの月間平均滞在時間も、2006年6月の3時間13分17秒をピークとすると、2006年12月には約2時間34分にまで落ち込んでいるというのだ。
一方、ブログの方は2006年1月時点の1445万人と比べると、2006年12月時点で1592万人と、月間のユニーク推定訪問者数だけみれば微増。しかし、視聴率は2006年12月時点でも訪問者1人あたりの月間平均視聴ページ数は約93.9ページ、月間平均滞在時間は約 55分と、落ち込みもなく安定して推移しているという結果が出ている。
このままSNSは衰退の一途をたどるのか。。。いや、そう結論づけるのは、ちょっと短絡的過ぎるような気がする。この数字だけを取り上げて、SNSベンダーやSNS運営者がことさら悲観的にとらえる必要はない。むしろ、ブームとも言える異常なSNS現象が落ち着いて、やっと本来の姿を取り戻したと見るべきだ。
SNSを運営してみるとわかるが、ユーザの多くは、コミュニティよりもブログを利用する傾向にある。コミュニティに発言するだけのユーザはたまにいるものの、自らコミュニティを立ち上げるというユーザは本当に珍しい。
faamの場合、楽曲や動画を投稿する作業場所をコミュニティにしていることから、自分の演奏を聴いてほしいと考えているアーティストは自らコミュニティを立ち上げることになる。ところが、一般のファンが自らコミュニティを立ち上げるという例はとても少ない。
この現象はミクシィでも証明済みで、コミュニテイを立上げていろいろ発言を繰り返しても、コメントをしてくれるユーザーは本当に少ない。テーマが面白くないと言われてしまえばそれまでだが、他のユーザーからも同じような話を良く聞く。
これが日記になると、反応が断然良くなる。リアルでは会ったことがないユーザーなのに、頻繁にコメントしてくれるから不思議だ。
この差はどこにあるのだろう。実は、この差はコミュニティとブログの性質の違いによるところが大きいのではないかと考えている。ブログは、他人に邪魔されることなく自由に発言できる。あくまでも主導権は自分にある。ところが、コミュニテイはそうはいかない。
コミュニティには、基本的には管理人なるものがいて、参加しているユーザーは何となくその管理人の監視の目に晒されているような印象を持ってしまう。遠慮なく自由に発言してと促されても、簡単に「はい、わかりました」とはいかない。主導権が自分にない分、参加することに勇気が必要になってくる。
それほど高度な情報を求めていないようなユーザーにとって、管理人という存在がいて、発言が規制されているような印象を受けてしまうコミュニティは、自由に好きなことが発言できるブログより、どうしても敷居が高いと思われてしまっているのでは?
そんなユーザー心理を反映してか、最近は高機能なブログを用意しているSNSが当たり前になっている。それが本来のSNSのあり方として正しいかどうかはさておき、ブログがSNSの重要なコンテンツの一つになっていることだけは間違いない。
数字に惑わされることなく、運営者はSNSを使ってユーザにどんな付加価値を提供したいのか、もう一度よく考えてみるべきだ。
※ ビデオリサーチインタラクティブの調査レポート
http://www.videoi.co.jp/release/20070219.html