「プロマネは見た!」の続編は!?
先日、「プロマネは見た!」の続編を書かないかという話を頂いた。そろそろ何か書いてみたいなと思っていたこともあって随分悩んだのだが、結局断ることにした。
「プロマネは見た!」は、僕が初めて書いた本だ。内容は、当時勤めていた大手SIerで繰り広げられるプロジェクトの悲惨な現状を、ショート・ストーリー風にまとめたもの。95%は実際の話だ。表紙とイラストを担当してくれたのは、ロッキング・オンなどのイラストで有名なマー関口さん。
この本で言いたかったのは、プロジェクトマネジメントにとってQ(品質)C(コスト)D(期間)は確かに重要な要素ではあるが、それを実行するのが人間である以上、プロジェクトが成功するためには組織や人間のやる気や能力の方がはるかに重要だというもの。
この本には、今でも忘れられないエピソードがある。というのも、出版されたあと、ほとんどのSIerやコンピュータメーカーで働く社員の方から、この本は自分の会社が舞台になっているのではないかという問い合わせをもらったことだ。どこの会社も同じなんだということを、書いた本人が認識させられたものだ。
今回執筆を断った理由は、書く時間がまったく取れないということもあるが、今さら続編のような本を書いても意味がないように思えたからだ。今回依頼されたのは、Web 2.0とそれ以前のプロジェクトの進め方の違いをテーマにした本で、確かに細かい作業の進め方の部分では違いはあるため、それなりに違いが出せるとは思った。
でも、Web 2.0になっても、相変わらずプロジェクトを実行する組織や人間が大きな比重を占めていることに変わりはない。ということは、結局扱うテーマは以前と同じものになってしまう。そのことに何となく抵抗があった。
というか、むしろWeb 2.0の方が、今までのプロジェクトに比べてより人間の占める比重が高くなっているような気がする。2、3人、場合によっては1人で開発することも珍しくないWeb 2.0のプロジェクトでは、個人の能力がすべてだ。大規模プロジェクトのように、誤魔化しがきかない。
プロマネが見るべき一番重要な視点は、昔も今も人間にあるのではないかと思っているんだけど、どうなんだろう。