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難しい入れ歯こそ作り直してはいけない!  歯医者が手間をかけて修理を選んだ理由

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「噛むと上の入れ歯が痛くて。最近はお粥しか食べていないんですよ」

本当に辛そうな表情を浮かべて訴えてきたのはMさん、89歳男性の方です。
通常、上の入れ歯は下に比べて簡単に治ることが多いのですがMさんの入れ歯を見て驚きました。
これは簡単には治りません。

それにしても、どうしてこんなに変形してしまったのでしょうか?

上アゴと入れ歯が全く形が合っていないのです。
よく見ると何度も修理を繰り返していることがわかりました。
それもウラを張りかえる治療だけを繰り返したらしくて、入れ歯が1センチ近い厚さになっているのです。

これでは痛みの原因がどこにあるのかさえわかりません。
それに他にも大幅な調整が必要です。

歯医者の都合で考えれば作り直した方が早いのですが、患者さんのためには、このような難しい入れ歯こそ新しく作り直してはいけません。
毎日使っているものですから丁寧に入れ歯を直すことで、より良くするための調整のヒントがいっぱい詰まった情報の宝庫になります。
 
とは言っても、今回はケタ違いに大幅に削ることになるので入れ歯をお預かりしました。
アゴの形を再現する機械に入れ歯を取り付けて一晩がかりで削りました。

最終的な調整が終了するまでに3ヶ月かかりましたが
「おかげさまで痛みもありません。リンゴが食べられるようになりました」
と嬉しそうに報告してくれたMさんの笑顔が今でも忘れられません。

今回のMさんの入れ歯の形を修正する治療は保険適応で約5,000円でした(治療費は症状により個人差があります)。

https://www.ireba-ito.com/→いとう歯科医院

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