人類最大のリスク=気候崩壊、繰り返す人の過ち エッセンスフォーラム
エッセンスフォーラム2025 あらため「esse-sense Future Forum 2025」に参加しました。類を見ないフォーラムで、刺激を受けました。
前回に続き、紹介したいです。
Future Session「気候変動と変動する気候帯への適応」
・株式会社坂ノ途中 代表取締役 小野邦彦さん
・東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授 太田博樹さん
・総合地球環境学研究所 准教授 渡邊剛さん
・東京大学 経済学部 経営学科 准教授 山本 浩司さん
モデレーター:青木志保子さん
受け取ったことをいくつか:
・日本人は他国よりも、身近なリスクには注目するが、世界的なリスクには関心が低い(調査研究結果)
・グローバルにマクロの大リスク比較の中で、気候変動が最も大きな問題・・すでに、気候崩壊=climate break downとも言われる
・すでにあちこちで変化が顕在化: 日本の農業でも、例えば、鹿児島でさつまいもがだんだん作れなくなってきて、北海道でさつまいもの生産を増やそうと盛り上がったり、各地でできる作物が変化して、対応に四苦八苦している
メッセージは、
・長く振り返ると、産業革命以降の短い歴史に、人類が環境を変えた
・テクノロジーが解決するという楽観論を言う人もいるが、産業革命の当時も同じようなことを言う人が多く、人は同じことを繰り返す
山本浩司先生は、特にイギリスの歴史を研究されているが、産業革命の起こりとなる石炭など化石燃料の利用がヒートアップした17世紀の言葉を紹介し、化石燃料の消費と気候変動=合理的近代資本主義の避けられない帰結?との見方を:
・豊穣への憧れ:A discovery of infinite treasure (1639)→経済改良こそがチャリティ!;"It fills each Sense with Joy, our Purse with Money" Yarranton, The Improvement improved (1663)→物質的/金銭的豊さ=宗教的な理想;1660→鉱山開発もその一部(1698年の鉱山事業は、社会的責任を謳っている=Advantageous for the public goodと唄った)
・マーク・アンドリーセンのthe-techno-optimist-manifestoを、産業革命時に人々が言っていたことと同様だと、山本先生は指摘・・これは痛快でもあり、同じ間違いを繰り返す人の性(さが)を表している
あんな調子の米国のリーダーを笑うより前に、なかなか世界に目を向けないし、歴史に疎い日本人への、知的なカウンターととらえました。暑いとか自然災害とか食品とか日々体感しているのに、人類の地球の危機が迫っていると思わないのは、ヒトは適応する動物ということなのか?
単に、CO2削減だ、再生エネルギーだ、環境だ、と言われても、そこまでピンと来なかった方でも、こういう形(知の先端人が数名集まって議論する)話を聞くと、こりゃまずい、と感じるのではなかろうか。なお、本フォーラムのアーカイブへの問い合わせが殺到しているとか・・有料公開が決まったら、小生もシェアしたいと思います。