夏休み、このままでいいのか?
(社団法人 日本躾の会の躾の専門誌「ふれあい」に2023年に寄稿したものです)
「子育て 夏休み」とグーグル検索しようとすると自動的に 悩み しんどい 疲れた イライラ という言葉が現れます。筆者は5歳児の父親ですが、今の「夏休み」がベストなのか疑問を感じます。では幼稚園と小学校を念頭に、夏休みが40日も必要なのか、どうすればよいのか、考えてみましょう。
●暑くて外で遊べない
熱中症が話題になることが増えましたが、今年7月に石川県の馳浩知事(元文部科学大臣)は午後0時半開始の高校野球石川大会決勝について、「健康の観点から配慮があっても良い」「開始時間を早めるべき」と批判しました。高校生でもそうなら、小さい子はもっと夏は暑くて外で遊べません。温暖化・気候変動が進む中、これまでとは考えを変えた方がよいでしょう。
●様々な格差につながる
国民の経済格差が国の課題になっていますが、夏休みは体験・学習・栄養の格差につながります。暑いからだけでなく、お金がないと、夏休みは様々な体験をと言われても難しい現実があります。
●少子化に向かう
「小一の壁」という言葉が注目されていますが、保育園から小学に進むと仕事持ちのママは、子どもを預けられないことで苦労します。そして女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は53.5%(2021年)と上昇を続けています。こうした現実を知ると、子どもを持つと大変だとか、子どもは一人以上は無理といった少子化志向になりがちです。さらに、こども家庭庁によると学童保育における待機児童問題が浮上しています。
●考え直す動きもある
都道府県庁所在地市区と政令指定市の計52教育委員会のうち、「6教委が2016~18年度に規則で夏休みの期間を短くし、4教委が19年度から短くする」と答え、夏休みを再考する動きもあります(朝日新聞2019年6月29日)。しかし、昨年あれほど夏休みを短縮したのに、その検証や振り返りもなく以前の通りに戻している教育委員会が多いのが実態です。
●家庭任せ、学校任せではダメ
子ども・格差・女性活躍・少子化と政府が声高に唱えるなら、夏休みは避けられない論点です。しかし、既存の体制では変革は無理でしょう。小学校や幼稚園の先生たちに任せるのは、負担が増え、先生の夏の学習機会を狭め、先生不足に拍車がかかるでしょう。
クリエイティブに、柔軟に発想する必要があります。例えば、保育園の広域利用制度を国内留学的に活用する例もみられます。一律の義務ではなく、選択の自由がある上での新たな夏の過ごし方を考えたいものです。
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(追補:暑さの問題では、運動会の時期をズラスことも要望したいです)