書評「命を燃やせ いま、世界はあなたの勇気を待っている」吉岡秀人著
日本マーケティング協会の月刊マーケティング・ホライズンに一昨年記した書評を一つ。本書は、元Boowyの氷室京介氏(氷室京介 NEWS)など多くの協力者が支持しているジャパンハート代表の吉岡医師の著作だ。
なお、マーケティング関係者向け、また特集「Wow!マーケティング」の号だったため、下記のような語り口になっている。
「命を燃やせ いま、世界はあなたの勇気を待っている」吉岡秀人著、講談社
Wow!マーケティングを考えるにあたり、マーケティングの本ばかり読んでいてもどうだろう。Wow!マーケティングのヒントや刺激を得るために、人について問う本を手に取ってはいかがだろう。
日本で最大級のベンチャー・ビジネスのイベントに参加したとき、どの経営者の話よりも魂を揺さぶられたのが著者のジャパンハート代表・小児外科医の吉岡秀人氏だった。題からして人の心を想起させる本書の著者は、人の生き死に対峙し、それに関わる人々に触れてきた。アジアで1万人以上の子どもを救い、東日本大震災で延べ500人ものボランティアを送り出した著者が「自分が豊かに生きて行くための知恵」を説く本書は、人間としての本質を知るヒントに満ちている。
同時に、生き方を変える49のエールの多くは、会社・ブランドのあり方への問いかけと捉えることができる。「何もかも手に入れたけど、しょせん「モノ」だった」は、Wow!マーケティングと符合した問題意識を提示する。「たった一人の子どもに本気で向き合う」…子どもを”顧客”に置き換えたらどうだろう。「根源的な安らぎ」は、頭でなく心で顧客が欲しているものを示している。「創造力をエネルギーに前へ進む」ことを、あなたの組織では実践できているだろうか。「オリジンがこの世に存在する証し」は、自社らしさを追求する大切さを訴える。「心に「神」を入れる」くだりは、ブランドにスピリットを入れることと重なる。
また、失速する日本に閉じて、暗い気持ちで将来をみるよりも、国境を越えてアジアや世界に目を開き、「意気揚々とダンスしていける時代」であり、「特別な価値を持つあなた」を世界が必要としていると著者は言う。
あなた自身、そしてあなたの会社やブランドの特別な価値は何か?魂を揺さぶる言葉が色々と詰まっている本書は、殻を破ってWow!を生むためのよい刺激となるだろう。
また、本書に合わせたインタビューがこちらで読める→「こころを救う医療」とは ~『命を燃やせ』著者:吉岡秀人(認定NPO法人ジャパンハート代表、小児外科医) 」
アマゾンのページはこちら→「命を燃やせ」
また、最新刊「救う力」も感動する書だ。
当初は多の医師が見向きもしないどころか、批判を発していたのが、いまや日本の医師会・学会から支持され、多くの医師が活動に参加しているジャパンハート。人が、自分が、何をなすべきか、ヒントが得られるに違いない。