それじゃあ投資出来ませんよ~エンジェル投資家の視点から
(イラスト:knot改)
私は相も変わらずエンジェル投資家の真似事をやっています。一時期はまったく興味を失い、どんな話も完全にスルーしていましたが、昨年あたりからまた話があればお伺いするようにしています。
しかし、当然のことながら実際に投資や協業、M&Aに至るのは極々わずかです。ビジネスアイデアの優れているものが少ないということもありますが、一番の理由は他にあります。それは、投資希望者の情報が私が満足するほどにオープンにならないということです。
例えば、どんな素晴らしいビジネスアイデアとリターンの計画を持っている事業者であったとしても、その事業者の財政状況が判らなければ話になりません。もし事業者が負債で苦しんでいるのなら、新規事業の展開など至難の業でしょうし、こちらの投資金額をミスミス危険にさらすことになります。したがって、投資希望者はビジネスアイデアと共に自らの財政状況を説明するのが当然だと思うのですが、まあこのような方はほとんどいません。
簡単な話、せめて法人なら決算書、個人なら確定申告書を提示してくれたらいいのですが、1回目の面談が順調に終わり「では次回、決算書を見せてください」というと急に話が止まってしまうことも多々あります。
念のためお話ししておきますが、貸借対照表に負債が計上されていないといっても、借金がないということにはなりません。簿外の債務が存在する可能性があるからです。それをどのように判断するのかということですが、その方法のひとつは(まあ色々な方法があるのですが)、事業者代表の人柄を見るということになります。その人物と直接会い、じっくりと話をすれば、だいたいのイメージは掴むことが出来ます。実際の自分より大きく見せようとする人、事業の良い面ばかりを訴える人だと感じられたら要注意となります。そうではなく、誠実に事業に対する熱意や意欲を語る人であれば、もう一歩話を進めてもいいかなと考えるでしょう。
にもかかわらず、投資の交渉を社長や代表者が自ら行わず、他のスタッフなどが交渉役として登場するケースもあります。そんなケースに限って簡単に数千万の投資を希望しますなどと言われることが少なくありません。投資の依頼交渉というより一種のセールスのようで、いったい何を考えているのかと不思議で仕方ありません。しかし、世の中様々ですので、こんな企業に投資する方もおられるかもしれません。後でトラブルにならないよう祈るばかりです。
というわけで、エンジェル投資をご希望の方がいればご一報ください。
ただし、私のハードルは高いですよ(笑)。