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我が国は現在、閉塞感が漂っているとよく言われていますが、実は、よく観察すると、新しいビジネスチャンスがあふれかえっています。それを見つけて、成功させるコツとヒントをご紹介します。

広告ブロックブラウザ「Brave」はなぜ普及しないのか?

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(イラスト:藤やすふみ)


今回はブラウザ「Brave」のお話しです。

広告ブロック・トラッキング防止(プライバシー保護)を謳ったブラウザ「Brave」の初期版が2016年に登場してもう10年目に入りました。このブログを書いている2025年5月8日現在、私が確認したところ、ほとんどのホームページの広告をカットし、また動画サイトなどでも途中に差し込まれる広告動画をカットしてくれます。特に広告が気になる動画サイトでは、Youtube・Tver・amebaなどの広告をカットしてくれます。コンテンツを提供している方からすればたまったものではありませんが、ユーザーからすればこれほど有難いブラウザはありません。
それならば、「Brave」のユーザーは飛躍的に増えたかというとそうでもありません。Braveブラウザの市場シェアは、公式な統計では低く1%にも満たないとされることもあるようです。しかし、BraveはChromeやFirefoxに偽装しているため、実際はもう少しシェアがあり、Braveの公式発表では2025年時点で月間8250万のアクティブユーザーが存在すると主張しています。推察するところ、おそらく1~1.5%程度のシェアではないかと思われます。つまりは、結局はほとんど普及していないと言えます。

この「Brave」でインターネットを閲覧すれば随分とすっきりするのですが、なぜユーザーが増えないのか仮説を含めて検証してみたいと思います。

1.Google、Appleの支配力が強すぎる(スマホとの連携)

GoogleのブラウザはChorme、AppleのブラウザはSafariですが、現在、これらのブラウザで約8割以上のシェアとなっています。ユーザーはスマホとの連携が必需となっていますので、たとえ広告が煩わしくても便利なものを使い続けるということでしょう。また、習慣とは恐ろしいもので、いったん使い慣れると新しいものには移行しにくいものです。この2つのブラウザの牙城はなかなか突き崩せないでしょう。

2.広告があった方が楽しい
「Brave」でインターネットのページをあれこれ見ていると、すごく地味に感じることがあります。確かに出しゃばって来る広告はなくなりますが、その反面テキストだらけになります(笑)。WEB広告は本当にうまく作ってあるので、見ていて楽しいものもあるし、華やかさが感じられます。そういう意味では、広告があった方が楽しいのかもしれません。つまり、多くの人々は広告に煩わしさを感じることなく閲覧しているのかもしれません。

3.Braveの知名度がなく開発元に資金がなさ過ぎ
「Brave」を開発しているのは、Brave Softwareという企業ですがこれがあまりにも知名度と資金力がありません。したがって、ほとんど広告活動が出来ていない状態です。ほとんど、ネット上の口コミを通して少しずつ拡散しているような状態でしょう。これではGoogle、Appleには勝てないでしょう。

4.インターネットTVでは公式にBraveを使えない
インターネットに接続可能なTVでは、公式アプリとしてBraveは利用出来ません。サイドローディングすれば使えるようですが、それはマニアックな人のみでしょう。ここにもBraveが普及しない理由があると思われます。
また、スマホでBraveを使って表示し、その画面をTVモニターで見るという方法もありますが、画質が落ちるしこちらもマニアックな方法と言えるでしょう。

5.結局は独自の広告で儲けたい意図が感じられる
「Brave」はその仕組みとして、広告をブロックするか、それともBrave独自の広告を表示するかが選択できます。Brave独自の広告表示を選択すると、閲覧履歴情報をサーバーに送ることなくデバイス(PC、スマホ)上で最適な広告を選び出して表示されます。したがって、広告主にもユーザーのセキュリティにも配慮したものとにものとなっています。また、広告を見たユーザーにはBATという仮想通貨が貰えることになっています。
しかし、このシステムをよく考えてみると、Brave自身がGoogle、Appleになり変わり、市場の支配者になろうという意思が感じられます。まあ、企業なのであたり前と言えばあたり前ですが、「なんだ、結局はユーザーのためじゃないんだ」という失望感がなきにしもあらずです。もし、「Brave」が大普及した時点で、"Brave独自の広告非表示機能はなくなりました"なんて言い出すかもしれませんからね。

以上、広告ブロックブラウザ「Brave」が普及しない理由を考察してみました。実際使ってみると、重たくてなかなか最初のページが開かないこともあるし、今後Brave対策をそれぞれのサイトも行ってくるでしょうから、Braveの未来はそれほど明るくはないでしょう。それでも今後の動向は、興味深く見ていきたいと思っています。

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