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<ミラーレス一眼サバイバル>ついに出そろった2020年の新型高額カメラを紹介!~富士フィルム・ニコン・キャノン・パナソニック・ソニー

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スマホのカメラ機能に押され、その市場を狭めているカメラ市場。おそらく各社生き残りのカギを握るのは、高額なレンズ交換式の「ミラーレス一眼レフカメラ」の売上次第だろう。この2020年も本来は東京オリンピックに向けてさまざまな動きが早々にあるはずだったが、各社すべてがコロナ禍の影響でその製造と販売戦略に変更を余儀なくされたようである。しかし、ここへきてようやく各社新製品が出そろった感がある。そこで、各社が勝負を掛けた新商品を、順々に紹介してゆくことにしよう。

〇富士フィルム X-T4
2020年のサバイバルゲームの先陣を切って新製品を投入したのは富士フィルムだった。「XT-4」と名付けられたこのカメラは、前モデルX-T3と写真撮影機能自体はそれほど大きく変わらないが、待望のカメラ本体手振れ補正機能が搭載された。さらに、背面液晶画面がくるりと被写体側に回るバリアングル液晶が採用された。これにより、VLOG撮影や自撮り撮影が容易に行わるようになった。また、かつてのフィルムカメラ時代の写真のイメージを再現した富士フィルム得意のフィルムシミュレーションに「ETERNAブリーチバイパス」なども追加された。
加えて動画撮影機能も強化され、4K/60P 4:2:2 10bitのHDMI出力と4K/60P 4:2:0 10bitのカメラ内SDカード記録に対応出来るようになった。映像に詳しくない人からすれば、何のことかわからないだろうが、ともかく綺麗な動画が撮影出来るようになったということである。
ちなみに、この一連のミラーレス一眼カメラ(Xシリーズ)は、高級ミラーレス一眼で主流となっているフルサイズの撮影素子ではなく、それよりも小さいAPS-Cサイズの撮影素子を使っている。価格は現在20万円程度で、APS-C機としては高額だが、富士フィルムファンからすれば待望の一台であり、評価の方も非常に高いようである。




〇ニコン Z-5

ニコンが撮影素子の大きなフルサイズ撮影素子を搭載したミラーレス一眼に参入したのは2018年の夏の事である。「Zシリーズ」と名付けられた商品群は、まず8月に2450万画素のZ6を投入し、4575万画素のZ7を9月に投入した。本体手振れ機構も搭載した両機種は、カメラとしての評価は高いものの記録メディアが一般的に馴染みのないXQDカードであったり、高額カメラの割には記録メディアスロットが1枚のみであったり、Zシリーズ用のレンズが少ないということもあり(マウントアダプターで一眼レフカメラ用レンズは使用できるが)、販売的には苦戦が噂されている。
そこで、それらの不満を解消するかのように、Z5、Z6からカメラ本体手振れ補正機能は残してスペックダウンさせ、その代わりに記録メディアは一般的な
SDカードとし、さらに記録メディアスロットを2枚とした「Z-5」を販売した。価格は手ごろな16万円ほどであり、ニコンの戦略的機種として位置付けられているようである。ようやく反撃の準備が整ったというところだろう。
ちなみに、「Z-5」に先駆けてZシリーズ一連の製品としてAPS-Cサイズ撮影素子を搭載した「Z-50」も販売を開始している。こちらはミドルクラスのカメラということになるが、こちらは軽量でダブルズームレンズ付きで15万円程度という価格設定もあり好評を博しているようである。




〇キャノン R5/R6

おそらく2020年はキャノンがフルサイズ撮影素子を搭載したミラーレス一眼カメラに本格参入した年として記録されることだろう。
キャノンはフルサイズミラーレス一眼にはRシリーズとしてEOS Rで2018年に参入していたが、本体手振れ補正もなく瞳フォーカスもイマイチだったり、ファインダー内の映像にプチフリーズがあったりして手放しで絶賛されるカメラではなかった。したがって、「得意の周回遅れ戦略」「いつもの出し惜しみ」などと陰口を叩かれていたが、その不名誉を振り払うように、4500万画素の「R5」を今年の7月に、2000万画素の「R6」を今年の8月に発売した。両機ともに本体手振れ補正を搭載しており、瞳フォーカスを含むAFも見違えるほどに向上した。また、前モデルに比べ操作反応も見違えるほど改善された。「R5」に至っては、8K動画撮影できるというオマケまでついている。さらに、キャノンはRシリーズ用レンズを立て続けに発売しており、新たなレンズの販売計画も着実に進めている。これこそが、カメラ業界の王者のなせる業と言うことが出来るだろう。
ちなみに、現在の「R5」の値段は約45万円、「R6」の値段は30万円となかなかの高額だが、コロナ禍で製造が順調に進んでいないこともありどこの店舗も売り切れで入荷未定が続いている。予約を入れてもいつ手元に届くか判らないという状態だ。ひとまずは、「R5」「R6」共に大成功というところだろう。ソニー追撃ののろしは十分に上がったと言える。

<EOS R5>



<EOS R6>




〇パナソニック LUMIX DC-S5
マイクロフォーサーズ陣営だと思われていたパナソニックが、フルサイズ撮影素子を搭載したミラーレス一眼を発売したのは2018年の事だった。ライカLマウントを採用したこのカメラシリーズは、ボディサイズが大型でどちらかにいうと映像撮影が得意な製品群であった。
しかし、今年の9月に発売される「DC-S5」は、写真撮影にも映像撮影にも適するバランスが取れたカメラとなっている。サイズも重さも小さくなり、値段も25万円程度でこれまでの機種に比べると安価であり一気に普及を狙った戦略的機種であると推測される。
つまり、価格的にもソニーα7Ⅲ、キャノンR6とのちょうど真ん中あたりの価格設定となっていることから、これらの人気両機種と真っ向から衝突することになる。果たして、どのような結果になるか大変興味深いところである。





〇ソニー α7sⅢ α7c

ミラーレス一眼カメラの圧倒的シェアを誇るソニーは、2020年も余裕の新製品投入である。
「α7sⅢ」「α7c」の両機ともフルサイズ撮影素子を搭載したカメラで発売は今年の10月ということだが、「α7sⅢ」は1210万画素ながら暗所での撮影に強く映像撮影機能にも優れたカメラ、「α7c」はソニーの人気機種であるα7Ⅲをわずかにスペックダウンさせた軽量コンパクトなレンジファインダー型カメラである。「α7c」に関しては、カメラ本体手振れ補正機能を搭載したフルサイズ撮影素子の世界最小・最軽量ミラーレスカメラとなっている。
価格は「α7sⅢ」が40万円程度、「α7c」が23万円程度であり、他社や自社のカメラをにらんだうまい価格設定といえるだろう。
今年も色々あったカメラ業界だが、結果的にはソニーが年末に向けてドンと新たなスタンダードとなる2機種を発売する形で締めることになりそうだ。

<α7sⅢ>


<α7c>

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