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我が国は現在、閉塞感が漂っているとよく言われていますが、実は、よく観察すると、新しいビジネスチャンスがあふれかえっています。それを見つけて、成功させるコツとヒントをご紹介します。

たったひとりのカメラメーカー

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安原製作所というカメラ及びカメラレンズメーカーがある。
京セラがコンタックスマウントの最終機種として「コンタックスアリア」を販売した1998年に、元コンタックスのカメラ技術者が創業した企業である。なにか因果関係があるのか詳しいことは判らないが、なにかあったとしても不思議ではない一致である。

さて、いわゆる脱サラにより起業した創業者は、1999年、自らの思いを込めたレンズ交換式35ミリレンジファインダーカメラ「一式」を開発し発売する。続いて2003年には、35ミリレンジファインダーコンパクトカメラ「秋月」を発売。一定のユーザーに支持されていたようである。
しかし、デジタルカメラ普及の勢いには逆らえず、2004年にはフィルムカメラメーカーとしての役割を終了。しばらくは、部品設計・製造を行っていたようだ。そして2012年、満を持して今度はレンズメーカーとして再出発。ソフトフォーカスレンズ「MOMO100」、魚眼レンズ「MADOKA」、MADOKA用ゆがみ除去ソフト「WALP」などを次々と販売して行った。さらに2019年、フルサイズミラーレスカメラ時代の到来をにらみ、ミラーレス一眼用レンズANTHYシリーズを発表。まず、第一弾として歪曲収差をほぼ0に抑えた「ANTHY35 F1.8」を発売。ソニーFEマウント用、キャノンRFマウント用、ニコンZマウント用と主要なマウントに対応した。
この「ANTHY35 F1.8」は、AFではなくMFということもあるのだが、非常に良心的な価格で抑えられており今後のシリーズの展開が楽しみであった。しかしながら、大変残念なことに創業者である社長は2020年3月に亡くなられてしまったようである。HPを見ると、どうやらおひとりで業務をされていたようなので、今後の事業展開は難しいということのようだ。

もちろん、この創業者の方と私はまったく面識はない訳であるが、発売された商品群あるいはHPの商品紹介記事を見る限り、大変カメラを愛されていた方だったと想像するに難くない。色々事情があったにせよ、自らの理想のカメラを求めて脱サラされたのであろう。この起業家精神には敬意を表したい。

ちなみに安原製作所のレンズは、YouTubeなどを見る限り海外でのレビューが多く、国内よりも海外で支持されていたようだ。私も、今後おそらく幻の名器と呼ばれるであろう安原製作所のレンズを自分なりに追いかけてみたいと思う。

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