無観客プロ野球中継の楽しみ方
日本のプロ野球が6月19日にようやく開幕した。当初の予定より、ざっくり3ヶ月遅れである。それでも、無事開幕できたのだから良しするべきだろう。
さて、プロ野球が開幕したのだから、当然のごとくTVのプロ野球中継を目にすることになった。なにげなく目に入った中継なのだが、昨年までと違う様子に私は思わず見入ってしまった。
ご存知の通り、今は観客が入っていない。選手の四肢の躍動や唸り声、投手の投球するボールの音、打者がボールを打つ打球音......。そして、選手同士の掛け声、場内アナウンスが広い空間に響き渡り、それらがすべてリアルに感じられる。いつもの観客が応援している声がこだましてる野球中継とはなったく異なる光景がそこにあった。
そこで私は、ためしにTVを副音声にしてみた。
やはり予想通りだった。実況がカットされ、音声は球場内の音だけに切り替わった(BSの野球中継では、副音声は球場内の音だけが放送されていることが多いのだ)。
おおおおおおおぉぉぉぉぉ、これはおもしろい。
まるで、めちゃくちゃ上手い草野球を目の前で見ているような気分になった。これぞボールパーク(?)。久しぶりに手に汗にぎって(ちょっとオーバー)TVの野球中継を真剣に見つめた。こんなことは、いつ以来だろう。
まもなく球場にも観客が入れるようになるだろうから、読者の方も、いまのうちに、ぜひ無観客・無実況野球中継をお試しいただきたいと思う。
さて、本題はこちらから。
昨今、TVが面白くないといわれて久しい。私もいつのまにかTVよりもYouTubeの方をよく見るようになった。"YouTubeを見るために、うるさいからTVを切る"という行動が私の日課になるとは思いもしなかった。
なぜ、TVが面白くないのか、無観客・無実況プロ野球中継がひとつのヒントがあるように思う。とにかく、現在のTVは説明過多なのであろう。バラエティ番組では話している言葉に重ねてテロップを出し、バラエティだけでなくニュース番組でも物事を簡略化した図解が幅を利かせている。野球中継の実況にしたって、ホームランボールが外野席に飛びこんだことを視聴者が目で確認する前に、ホームランだと叫んでいる。かつては、このシーンは静かに見届けましょうと試合のクライマックスには黙り込んだアナウンサーもいたが、今はしゃべること、しゃべること。。。
判りやすいことはある意味いいことだが、適当に流して見ていれば判るのならだれも一生懸命には見ない。"ながら族"が増えたから判りやすい番組が増えたのか、判りやすい番組が増えたから"ながら族"が増えたのかよくわからないが、TV衰退の要因のひとつはここにあるだろう。
対してYouTube。予算がないからほとんどの動画が手作り感満載である。ちゃんと見て、ちゃんと聞いていないと何の話か判らない。興味深い話を展開するYouTuberにはコアなファンがつくこともうなずける。
といってもTVはまだまだメディアの王様。期待を込めて言えば、もうちょっと頑張ってもらいたいと思う。