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日本の未来について悲観的な情報ばかりが飛び交う昨今ですが、一筋の光が明滅するのを最近実感します。それは成功企業の中に、アメリカ型経営とは一線を画す日本古来の伝統経営哲学がしばしば見出されるようになったことです。数百年の風雪に耐えて今なお顧客や社会に支持される老舗企業に特有な哲学や経営姿勢が、図らずも若いベンチャー企業群に見出される――その経営の在り方を「主客一如型経営」と名づけ、今後の日本の産業界をリードし、再生に導く存在になり得るものと期待しています。本ブログではこの主客一如型経営に関し、その原動力となる「不変と革新」というキーワードから解明してゆきたいと思います。

病院で死ぬなら私は是非ここで!

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以前、房総半島の鴨川シーワールド近くにある亀田メディカルセンターについての記事をかかせていただきました。

そこでは、同メディカルセンターの「主客一如」にフォーカスしましたので、今回は、「不変と革新」についてご紹介したいと思います。

 

下記は、フジサンケイビジネスアイで、私が担当した全44回の連載の中の、第39回として、2008年8月19日に掲載されたものです

 

 

現代における「良い病院」とは

 

現代日本をめぐる問題のひとつに病院の経営難がある。

利用者(患者やその家族)にとっては、自分の身に直接ふりかかる問題であり、決して他人事ではない。

 

そうした環境を背景に、最近では、病院経営の在り方を説く書籍が多々発行されているようだ。

 

しかし、どちらかといえば、合理化とかコスト削減などのキーワードが目につき、利用者の視点に立って書かれたものは、あまり見かけない。

 

そして実際、利用者、特に入院患者に対し、不安や緊張、我慢や諦めを強いる病院が、いまなお存在するのは残念なことだ。

漂う異臭、冷たく無機質な建屋、不十分な情報、娯楽・潤い・自由のなさ、味気ない食事、そして、プライバシーの欠如。

 

一個の人格として尊重されない、時として、それまでの自分の人生を否定されたかに感じられる処遇。

 

質の高い医療サービスで患者を病の苦しみから解放するという「ミッション」は「不変」としつつも、上記のような側面は、利用者の視点に立って「革新」すべきではないか。そう思っていた矢先、先日、それを最高水準で実現する稀有な事例に出逢った。千葉県の高名な総合病院。

 

ここでは、「顧客第一主義」を謳う創業の理念に基づき、あらゆる面で、利用者の利便性と快適性の追求が最優先されている。

医療レベルの高さは言うに及ばず。建屋の構造・デザインから食事の質、利用者への情報公開やプライバシー保護など業務プロセスの細部にまで、それは徹底しており、全スタッフが、「誇りと自覚」をもってそれを運用している。

 

南国リゾートを思わせるオーシャン・ビューの立地も開放的な気分を高めてくれ、その利便性と快適性は、まるで一流ホテルで一流の医療サービスを受けているかのようだ。しかも、価格はリーズナブル。

そのせいであろう、利用者が選ぶ良い病院のランキングでは、総合成績で常に全国のトップクラスに名を連ねている。

 

ここでは、「顧客第一主義」の理念を「不変」の対象として貫徹するために、スタッフの教育に多大なエネルギーを投じている。

それが結果として、全スタッフの「自己革新」を促し、病院としての「不断の自社革新」のダイナミズムを生んでいる。

そして、それが同病院の「ミッション」のより高次元での実現を可能にしているのである。

 

「病は気から」と言うが、医療機関としての「ミッション」を果すためには、患者やその家族が明るい希望をもって、極力、不安な緊張のない、快適な生活を送る中で、病と向き合える環境作りこそが、今、求められているのではないだろうか。

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