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日本の未来について悲観的な情報ばかりが飛び交う昨今ですが、一筋の光が明滅するのを最近実感します。それは成功企業の中に、アメリカ型経営とは一線を画す日本古来の伝統経営哲学がしばしば見出されるようになったことです。数百年の風雪に耐えて今なお顧客や社会に支持される老舗企業に特有な哲学や経営姿勢が、図らずも若いベンチャー企業群に見出される――その経営の在り方を「主客一如型経営」と名づけ、今後の日本の産業界をリードし、再生に導く存在になり得るものと期待しています。本ブログではこの主客一如型経営に関し、その原動力となる「不変と革新」というキーワードから解明してゆきたいと思います。

「感謝」「感動」で若いスタッフが躍動~ある居酒屋チェーンの急成長

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テレビを見ていたら、以前、「嶋田淑之の"この人に逢いたい"」で取材させていただいた企業&社長が登場し、懐かしいやら嬉しいやら♪

 

しかも、ビジネス面も相変わらず好調のようで・・・!!

 

それは、千葉県発祥の居酒屋チェーン「KUURAKU GROUP」(福原裕一社長)。

 

当時の取材記事(前編)はこちら↓

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0806/20/news142.html

 

記事の中でも詳述しましたが、ここは、離職率が高い飲食業界にあって、抜群の定着率を誇り、アルバイトを中心とした若いスタッフが躍動していることでも大変著名な企業です。

 

その成功のカギは、魅力的な「経営理念」を構築するとともに、これを「不変」の対象として貫徹・実現するために、「経営システム/業務プロセス」に、「感謝」「感動」というファクターを取り入れたことにあります。

 

今回は、この「KUURAKU GROUP」に関する、次の記事をご紹介したいと思います。

 

下記は、フジサンケイビジネスアイで私が担当した全44回の連載の中の第32回として、2008年6月24日に掲載されたものです。

 

 

 

「感動」「感謝」で若い人が躍動

 

かつての学校教育の現場で「学級崩壊」が問題になったが、最近は、若い社員をうまく扱えないことによる「職場崩壊」が企業の現場で問題になっているという。

 

しかし、その一方で、20代の若い社員・アルバイトがイキイキと働き、急成長を遂げている企業がある。

千葉県発祥の居酒屋チェーン「KUURAKU GROUP」だ。

 

離職率が年間33%を超える飲食業界にあって、それを毎年5%程度に抑えつつ、1993年の創業(当時は「くふ楽」)ながら、国内外の全18店舗すべてで黒字経営を実現し、今、注目されている。

 

福原裕一社長(43)は、経営理念の全社的実現を促進する「システム/プロセス」の構築・運用に優れている。

基本は、「現場への権限委譲」プラス「脱マニュアル」。

 

1人の社員と6~7人のアルバイトで構成する各店舗を1チームとして、各チームに裁量権を大幅移譲し、しかも、現場のオペレーションには一切のマニュアルを使わない。

 

社員、アルバイトの別なく、1人1人のスタッフが、自分で考え、行動することが求められる。

「社長の役目は、そのサポートをすることです」と福原氏。

 

同氏によれば、コミュニケーションを忌避しているように思われがちな現代の若者だが、実は彼らは「仲間とのつながり」を求めており、「認められる場」を欲しているのだとか。

それを満たすことで、若者の心は熱く燃えるという。

 

そのための仕掛けとして、前記のような「挑戦+成長」の場を提供している。

 

これを効果的に機能させるものとして、「ハッピー&サンクス」がある。

24時間以内にあった「うれしかったこと」と「感謝したいこと」をチームの仲間の前で毎日発表しあう制度だ。

日々、漫然と生きていると、色々なことが当たり前になってしまい、改めて「うれしい」と感じたり、感謝したりすることもなくなる。

 

しかし、それでは、チーム内の信頼関係を確固たるものにすることは無論、客のニーズやウォンツを敏感にキャッチし柔軟に対応することは難しいだろう。

 

ところが、この「ハッピー&サンクス」の導入によって、若いスタッフはそれまで見落としがちだった「客や仲間のさりげない感動や感謝」も感知できるようになり、それが「小さな成功体験」となって自信を生み、現在の同社の躍動感の源になっている。

 

「感動」とか「感謝」というと、ともすればビジネスエリートは軽視しがちだが、実は、これこそが人間を衝き動かす最も根源的な感情であろう。

 

「職場崩壊」に悩む企業は、一日も早くこの点を理解すべきではないだろうか?

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