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橋本正徳の非営利な活動を報告します

突拍子もないアイデアは突拍子もない

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豪発、巨大蜘蛛が大きな鳥にガブリ!

羽を逆立て凄まじい抵抗を見せる美しい羽色の野鳥、決して逃がさないとクレーンのような長い手を絡める巨大蜘蛛、弱肉強食とはいうものの、クモにこのような力があったとは・・・。

【海外仰天ニュース】豪発、巨大蜘蛛が大きな鳥にガブリ!』より

鳥が蜘蛛を捕食してもニュースにならないけど、蜘蛛が鳥を捕食するとニュースになる。それだけ、突拍子もないことは、良くも悪くも人の目を引き付ける。


さてさて、僕らシステム開発屋さんは、ある意味「新しいモノを作る仕事」もしくは「新しいコトを作る仕事」をしている。その中で、自社内外にて「新規事業」の立ち上げをしたり、携わったりする。新規事業の立ち上げでは、僕を含め、経営者(もしくはそれ相当の決定権がある人)というのは、新しく、他に例をみないアイデアなんかを求める人が多い。

新規ビジネスというと、新規性が高く前例がないものでなければダメだと思い込んでいる人がいます。
評価する立場の人がそうだと、提案する側は、とにかく突拍子もないアイデアを考えなければならないので大変です。
しかし、意外に聞こえるかもしれませんが、新規性や前例のあるなしというのは、とくにそれを会社が特別な理由で求めているものでなければ、それほど重要視しなければいけないことではありません。

『書籍:新規事業がうまくいかない理由』より

当たり前のことをコツコツやっていくことの大変さを知っているからかもしれないが、新規事業の立ち上げになると、まさに、蜘蛛が鳥を捕食するような、突拍子もないことを求めがちになる。書籍「新規事業がうまくいかない理由」では、ビジネスの評価基準を以下のように書いてある。

(1)何のために自社が新規ビジネスに進出するのか、その目的に合致している
(2)自社に合ったビジネスか
(3)そのビジネスをスタートするリソースが自社内外で調達できるか
(4)失敗しても本業の屋台船までは傾かないか
(5)本業の手助けになるだけの成長スピードがあるか
(6)進出するマーケットは成長しているか
(7)参入障壁が低すぎないか
(8)付加価値の高いビジネスか
(9)誇りを持ってできるビジネスか
(10)全員が「炎の集団」でなくても成功できるか

「全員が「炎の集団」でなくても成功できるか」というところには、ちょっと感心した。理由としては「与えられた役割をきちんとこなすサラリーマン的な働きをしてもらったほうが成功の確率が上がる」ということだそうだ。50人中、5人がモチベーションが高ければそれで良いとのこと。表現的に、ヒステリックな反応をしてしまう人がいそうだが、そう書かれると「なるほど」と思わずにはいられない。僕の知るところでは、「新規事業をドライブするモチベーション」が高い人が、「新規事業をドライブするモチベーション」が低い人の愚痴を言っているというのが実際で、そのうちモチベーションの高い人の心が折れてしまうことが多くある。そこをどう解決するか?だ。

「新規事業の立ち上げ」に関して、僕が時折気にしているのが「参入障壁が低すぎないか」ということ。例えば、ホームページを作っているような「Web制作」という世界は、一歩踏み込めば、その難しさは他の職種と同じくらい難しいと思うが、いかんせん「参入する」というところにおいては、比較的簡単のように見える。もちろん、僕らのシステム開発業も、遠目に見ると同じだ。むしろ、使用するソフトウェアの仕入れ額を考えると、システム開発業のほうが、参入障壁が低い面もある。参入障壁が「低く見える」と、いろんな人がやってきて、結果、需要と供給のバランスが崩れて、実際の価値より低い売買をやっていくことになってしまいがちだ。生き残るためには、「高度」なことをやるか、追い付けないほど「積む」かが必要だろう。

ともあれ、何かと突拍子もないアイデアを求めがちな新規事業の立ち上げ。やはり、「突拍子もないアイデアは突拍子もない」ということなのだと、改めて思う。システム利用者や、システムによって利益を享受される人の満足を、常に考え続けて、まずは「積む」ということを、大事に考えたい。考え抜くと、すごくシンプルで成功する確率の高いものになる。

新規事業がうまくいかない理由
坂本 桂一
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元記事:橋本正徳の「あなたのためのシステム開発」 : 突拍子もないアイデアは突拍子もない - livedoor Blog(ブログ)
写真:Office Now

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