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シリコンバレー駐在のIT商社マン、榎本瑞樹(ENO)が綴る米国最新ICTトレンド

ハーバード大学で世界初の汎用計算機を見た

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ここボストンは言わずと知れたアカデミックな街です。チャールズリバーを挟んで南北に100以上もの単科・総合大学が点在しています。

アメリカでもっとも歴史が古く有名なハーバード大学に始まり、多くのノーベル賞受賞者を輩出しているマサチューセッツ工科大学(MIT)、マーチン・ルーサー・キング牧師を輩出したボストン大学、ヒラリー・クリントンのウェズリー女子大学、村上春樹のタフツ大学などなど。(ボストン付近の大学分布

これらの大学の存在は経済的にも大きな影響を与えています。大学自体が雇用を生むだけではなく、周辺地域にハイテク産業を呼び寄せる効果も生んでいます。環状線であるルート128とルート495(私の中では環七と環八)周辺には、EMC、IBMなどIT企業や、数多くのスタートアップ企業が集結しています。また、Hight Land Capital、Matrix Ventureなど東海岸を代表するベンチャー・キャピタルもこのエリアに集まってきています。

っということで、今回は、ボストン中心部からチャールズリバーを渡ったケンブリッジにあるハーバード大学を訪れてみました。地下鉄レッドラインのケンブリッジ駅を降りると、ケンブリッジ・スクウェアという広場になっていて学生と観光客で賑わっています。

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ジョンストン・ゲートと呼ばれる正門をくぐり抜けると、綺麗な芝生が広がるハーバード・ヤードといわれる中庭にでます。周りは赤レンガの建物で囲まれていて、この一画は1636年創立当初のままだそうです。

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中庭を通り過ぎ「サイエンス・センター」を覗いてみるとそこには、そこにはショーケースに入った大きなコンピュータ(?)というか計算機が飾られていました。全長51フィート(約16m)、高さ8フィート(約2.4m)、奥行き2フィート(約0.6m)の大きさ。

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「Harvard Mark I」と名付けれたこのコンピュータは、世界初の汎用計算機で、同大学のハワード・エイケン氏が設計し、IBMが製造して1944年に完成したものです。23桁の10進数を72個格納でき、1秒間に3回の加算・減算、乗算には6秒かかり、除算には15秒、三角関数にいたっては1分以上の時間を要したそうです。いやはや時代を感じますね。

そして、ハーバード大学から車で10分のところに、マサチューセッツ工科大学(通称MIT)があります。チャールズリバー沿いに広がるキャンパスはいつみても惹きつけますね。写真は同大学の象徴であるグレートドームです。

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ここにはハイテク業界では有名なMITメディア・ラボがあり、数々のイノベーションが生まれています。創設者・名誉会長として知られるニコラス・ネグロポンテ氏(Nicholas Negroponte)は、発展途上国の児童のために$100PC(正式名:OLPC XO)を設計しています。このPCはLinuxベースのノートPCで、頑丈かつ太陽によって自己発電でき、タッチスクリーン仕様になっています。途上国の教育に大きく貢献しそうですね。

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このアカデミックな街からイノベーションが起こるんだなと思うと、通りすがりの学生が微笑ましく思えます。このイノベーションをビジネスに繋げることが、自分がやりたいことだと改めて認識しました。

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