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シリコンバレー駐在のIT商社マン、榎本瑞樹(ENO)が綴る米国最新ICTトレンド

ストリートから学ぶ起業家スピリット

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 異業種交流会ということで、ボストンで活躍するバルーン・アーティストのEtsuko Downingさんの公演に顔を出してきました。彼女はArt Institute of Seattleを卒業後、グラフィックデザイン、雑誌編集、フラワーアレンジメントなどの仕事を経験し、2008年からバルーン芸人としてストリートパフォーマンス始めたそうです。

バルーンの作品はこちら
http://www.foolloon.com/Site/In_Studio.html

 ストリートパフォーマンスで見かけるバルーンは動物や花が多いように思いますが、彼女の作品は芸術的で美しい帽子がその殆どを占めます。そして、手品、ジョーク、派手な衣装やメイクがセットになったイメージがありますが、彼女の芸にはバルーン以外の要素は全くありません。だから、小さな子ども向けというよりも10代より上の人たちに綺麗なものを作ってアートで勝負しているという感じです。

 同じものを短期間で作って数をこなすというようなコスト・パフォーマンスを意識した動きよりも「あなたが作りたいものを作って!」という注文が入る方がテンションが上がるそうです。つまり、ファーストフードよりもシェフの気まぐれコースのタイプです。(薄利多売ではなく、付加価値創造のビジネスモデルです。)

 それから、子供との会話の中から喜びそうなものを探っていったり、服に合わせた色をコーディネートしたり、時には何が欲しいのかアイディアがない子供の先手を打ちながら導いたりと、ある意味私たちICT業界のコンサルタントや営業マンに通ずるものを感じました。(良い製品であれば絶対に売れるか?というとそうでもなく、提案書の中身だったり、プレゼン力だったり、その営業マンへの信頼だったりします。)

印象に残ったのは要所要所に出てきた「私の場合は違うんです。」という言葉。

 飲食業界のように同じ建物の中に同じカテゴリーのお店を置かないなど規制があるわけでもなく、同じエリア内で他のバルーンアーティスト(競合)が3人ひしめき合うこともあるそうです。しかしながら、Etsukoさんは全く気にならないそうです。そういう性格?ということもあるのでしょうが、自分が創造するバルーンは他と違い独創性があるということの裏返しなのでしょう。(そういう意味で「差別化戦略」をきちっと取っているとも言えます。)

それから、「自由でいたい」という言葉。Etsukoさんにとって自由とは?何も決めないこと。

 バルーンの相場は1本1ドルとのことですが、料金を決めずにチップ制だそうです。「価値観は人それぞれで自由でいいという。その方が自分も自由になれるから」とのことで、「この帽子いくら?」という子供に「お行儀よくしたらあげる」と、採算度外視な行動をしたりと、純粋に喜ぶ子供を見ると心が洗われるそうです。この人は、バルーンを愛していて、人を喜ばすことに生きがいを感じながら仕事しているんだなと。

自分自身を振り返ってみると、確かに新しいビジネスを創出してお金を稼ぐことは楽しいし、やりがいがあります。(まあ、私の場合はサラリーマンなので会社のお金ですが・・・。)しかし、お金の大きさよりもお客さんが喜ぶから嬉しいという視点でビジネスしてるだろうか?・・・・・。考えさせられました。

その他、あの有名なバークリー音楽院出身の音楽プロデューサーや、ボストン沖にあるナンタケット島の工芸品のナンタケットバスケットの先生などいろんな意味で刺激を受けた交流会でした。

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