Social Good な企業とその取り組み #4:大垣共立銀行
岐阜県第二の都市大垣市にある大垣共立銀行は、総資産51,577億円、預金残高43,347億円(Webサイトより)の中堅地銀です。「日経金融機関ランキング2010」の顧客満足度調査では、ネット銀行を除いてトップをとっています。また、少し古いですが、2005年にダイヤモンド社が行った顧客満足度調査「つきあいたい銀行ランキング」は一位に輝いています。
テレビ番組「賢者の選択Leaders」に出演した土屋頭取が自行を一言で言い表すと「分かりやすい銀行」と答えていますが、まさに銀行とは思えぬ分かりやすいサービス、商品を展開しています。
「分かりやすい銀行」になるためのに顧客目線を重要なポイントにあげていますが、言葉だけではなく実践をしています。コンビニ型の店舗やドライブスルーATM、金融機関がない過疎地に赴く移動銀行「スーパーひだ1号」などユニークなアイデアはそう言った視点から生まれてきています。
大垣銀行のSocial Goodな取り組みとして、2008年に立ち上げた女性支援プロジェクト「L's プロジェクト」があります。このプロジェクトでは社会的な弱者でもある女性の課題解決を金融サービスの観点から行っています。商品として非常にユニークな、女性の立場に立ったものを提供しています。
- シングルマザー専用ローン「Tetote」
- 離婚関連専用ローン(女性専用)「"Re"-f-」
- 不妊治療関連ローン「Futari-de」
- キレイをかなえる女性専用ローン「Bi-sket」
- 「デキル」をふやす女性専用ローン「Star★day」
弱者故に借りにくかったり、条件が悪くなったりする金融商品を、むしろ良い条件で提供しています。金融常識では逆ばりです。しかし、マーケティング的にみれば新たなマーケットを掘り起こした見事な戦略だともいえます。あるプロジェクトでシングルマザーとのワークショップを行ったことがあるのですが、彼女達は同じ境遇の方達とのコミュニティ意識が強く、よい情報の共有は積極的に行っています。このような商品は彼女達の共感を受け、共有されるでしょう。銀行や金融が比較的苦手なセグメントでもある女性とのエンゲージメント手段としては素晴らしいアプローチだと思います。まさに、共感性の高い社会的な課題解決をビジネスの収益源とするCSVモデルと言えます。
我々が属しているCSV推進団体SVIのトレーニングでもCSVで重要なことは自分たちが取り組むべき社会課題を徹底的に掘り下げることの重要性を教えていますが、大垣共立銀行は女性が抱える社会課題を女性目線で徹底的に考え、ディスカッションしたものと思われます。
土屋頭取は、自行を金融業というよりはサービス業として位置づけ、役員がその視点を忘れた発言をすると「お前は銀行員か」と叱責するとか。笑 このような視点が徹底されているので「分かりやすい銀行」であり、顧客目線に立った商品、サービスを提供でき、顧客から「共感、共有」されるのでしょう。
CSV実践にあたってとても重要なことだと思います。