若手エンジニアのソフトウェアテスト勉強合宿「WACATE 2009 冬」レポート 前編
2009/12/12(土)、三浦海岸で開催されたソフトウェアテストの若手勉強会「WACATE2009 冬」に、ITmediaブロガーとして参加してきた。
[写真1] オープニング、実行委員長 池田暁氏(日立情報通信エンジニアリング)
WACATE実行委員長の池田さんとは、数年前にソフトウェアテストのイベントがきっかけで知り合い、それから時折ソフトウェアテストに関する相談に乗っていただいている。仕事で関わっているテーマであると同時に、個人的にもこういった勉強会が好きなので、編集者ではないものの取材をお願いした次第である。ちなみに、@IT自分戦略研究所「エンジニアライフ」のコラムニスト第3バイオリンさんが勉強会に参加されており、(私は1日目の夕方までの参加だったので)2日間通しての参加側のコラムが楽しみだ。
[写真2] 会場となったホテル「マホロバ・マインズ三浦」。一面の青い海と、晴れた空が広がっていた。
■参加者の半数が「組み込み系」のエンジニア
今回の参加者は55名。それぞれが関わる開発分野は、自動車から医用機器、ゲーム、ウェブブラウザ、そしてエンプラ系など多岐にわたるが、大きく分けると「組み込み系」が49%と約半数を占めていた。
携帯電話の多機能化、自動車の電子化など、ここ数年の製造業における「ソフトウェア」の進歩は著しいものがある。しかし、その製品開発の裏側では、「開発サイクルはどんどん短くなるが、品質は下げることはできない、そして低価格化にも対応しなければならない」、という状況が起こっている。こうした「短納期・高品質・低コスト」に対応するための解決策の1つとして、「ソフトウェアテスト」が重要な位置を占めているのだ。(※関連記事参照)
■今回のテーマは「基礎・おぼえていますか」
WACATEの申込者の参加理由を拝見したところ、
- 開発段階でなかなかテストをできない、楽に導入できる方法はないか知りたい
- 独学(だけ)だと、実践的な技術・知識はなかなか得られない。議論や意見交換によるブラッシュアップが、学習成果をより実践的なものにするために重要だと感じている
- WACATEに参加するとモチベーションがあがる
- 20代のうちに基礎を固めておきたい
- 来年の新人教育のネタを仕入れつつ、他社でどういう教育をしているか知りたい
などなど、各々の熱い意欲がうかがえる。
[写真3] WACATEは夏と冬に開催。6月に開催される「夏」では1つのテーマを狭く深く掘り下げ、12月の「冬」では多くのテーマを広く浅くカバーする。
今回の2009冬では「基礎」がテーマに据えられており、普段仕事に忙殺されているなかで見落とされがちな「技術的な基礎知識」から、仕事をうまく進めるための「コミュニケーションの基礎」、「プレゼンテーションの基礎」など、様々な「基礎」を学ぶことができることが大きな参加の動機付けとなったのだろう。
[写真4] 日本IBM 細川宣啓氏のセッション「プレゼンテーションのプレゼンテーション」
エンジニアだけでなく営業の私にも非常に参考になる内容だった。
モチベーションが高い人同士で集まると、そこでは「濃い議論」が発生し、ひとりで勉強するよりも格段に多くの知恵が身につくことがある。また、異なる業種、異なる職種(開発者、テストエンジニア、研究者や経営者など)の意見を聞くことにより、視野が一気に広がるということもある。
次のレポートでは、WACATEに集まったその立場の異なる参加者たちを、どううまく会話させる仕組み(きっかけ)が用意されているかを取り上げたい。
※公式サイト
WACATE(Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers)
※池田さんの著書
「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」
※@IT MONOist関連記事
・組み込みギョーカイの常識・非常識 第8回 「組み込みソフトウェアって何?」
・山浦恒央の“くみこみ”な話(13) 「開発するのに30分、テストするのに10万年」
・いまさら聞けない モデルベース開発入門