父に言われた事 - 私が鬚を伸ばしていた頃
笑われちゃうかも知れないけど、7-8年ほど前、あごひげを生やしていた事がある。結構、真っ黒でふんわりとした感じだった。そのころに出会った人はあごひげの印象があるらしく、久しぶりに会うと「どうし たの?」と聞かれたりする。1年以上生やしていたと記憶している。
親不孝者の私は、その当時、あまり親と会うことをしなかったのだが、久しぶりに会った時に父親が私の鬚を見て、こんなことを言った。
「お前最近、人に評価されなくて、嫌な思いをしてないか?」
私の父親は、国家公務員で人事部長を何年も経験してきたので、人を見る目、性格やその人の状況を判断する力は持っていたようだ。突然ひげを生やしだしたら、 自分への評価に不満がある、なんて、唐突だけれど、父親の経験では、そうだったのだろう。特に、国家公務員で突然ひげを生やしだしたら、やっぱりちょっとおかし い。
「別に・・・。」
といったものの、当時私は、マーケティング部の部長をしていて、品質問題を中心に、製品管理の観点から米国と日本のギャップに苦慮していた。製品の品質は 製品管理部門の責任だ、と言われ、確かに私が動かなければ、と思っていた。米国に出張をしたりして、品質改善の交渉や日本語サポートの依頼を繰り返して も、米国の開発エンジニアリングにもそれなりの理由があり、思った通りにはなかなか行かなかった。
それで鬚を生やしたつもりはないのだけれど、深層心理では、父親が言うように、これだけがんばっているのだから、ちょっとは誉めて欲しいもんだと思っていたのかも知れない。
その後は、周囲や上位マネージメントから力強いサポートを貰って、徐々に改善できたと思う。いま思うと、私の努力などより、上位マネージメントのサポート が決定的に効果があったように思われる。そういった意味で、自分の実力以上の結果を出させてくれるマネージャーの存在は、いまでもありがたく思っている。