Sun ジョナサン・シュワルツは、何をしようとしているのか
PrimeTime さんから、コメントをいただき、たどって行くと以下の記事をが投稿されていた。
米サンCEOのシュワルツ氏、再びサン栄光に向けて注力
最初にサンに在席する私がこんな事を書くと、あたかも、サンを代表した意見のように見えるが、以下の投稿はまったく私個人の感想であることをご理解いただきたい。まあ、社員なので、より多くの資料に近いという利点はあると思いますが。
さて、サンのCEO、ジョナサンはいったい何をしようとしているのか。それを探るのに、最近、ジョナサンが良く使うフレーズを思い出すと良いかもしれない。
Different Isn't Always Better, But Better's Always Different
違う、と言う事は常に良いことではないが、良いことは常に違う
(下手な訳ですみません)
つまり、何をするにせよ、IBMでもMicrosoftでもない、ましてやDellでもIntelでもない、サン独自の方法で業績を挽回しようと思っている、のだと思う。(追記:実は業績的に見ると、もう、充分に挽回していますね。失礼。)もう少し掘り下げるには、ジョナサンの最近の講演資料からヒントを見つけてみよう。これだけではないが、典型的なフレーズとしては、
- The world is being transformed by free media. (and FOSS)
- General purpose computing is on the rise.
- We, and our customers view technology as a competitive weapon.
- Volume drives value.
つまり、
- この世界は無料のメディア(とFOSS(Free Open Source Software))によって変化する
- 汎用コンピューティングが台頭している
- 私たちと私たちのお客様はテクノロジが競争用の武器だと見ている
- 量が価値を動かす
1.は、サンのオープンソース化を指し示している言葉だ。サンは、実はたいへん多くのソフトウェアを持っており、大きなビジネスソースのひとつだが、そのソフトウェアはすべてオープンソース化される。OS(Solaris)、Directory(OpenDirectory)、アプリケーション・サーバ(GlassFish)、Java。そのほか、OpenOffice、OpenSSO、OpenESB、OpenSPARCまである。そして、これら、オープンソースには、それぞれサン社内のエンジニアだけでなく、社外の貢献者(コントリビュータ)がコミュニティを形成している。使うだけなら、タダである。
2.は、具体的には、たとえば Sun Fire X4500 といったサーバを指す。X4500は、CPUがAMD Opteronを採用し、ソフトウェアRAIDで、かつ、HDD容量が最大「24TB」である。サーバとして充分な能力を持ちながら、HPC/Grid、ビジネス・インテリジェンス/データ分析、デジタル・メディア・ストリーミング、ライブ映像記録、ニアライン・ストレージなど、様々な用途に利用できる。一般にはNAS(Network Attached Storage)の範ちゅうに入るが、あきらかに単純なNASではない。
今後こういった、ストレージの需要が増えてくるので、サンでは、サーバを開発する部門とストレージを開発する部門を統合してしまった。EMCやNetAppには出来ない事だ。今後のストレージ製品は、サーバベンダーでなければ、作れない。ちなみに、このX4500はよく、「Web2.0サーバ」と呼ばれているが、命名してくれたのは、ティム・オライリーである。
3.サンのお客様は、GoogleやeBay、日本では「楽天」さんなど、テクノロジが重要と考えていただいているお客様が多い、ということです。楽天さんのホームページを一番下までスクロールすると「Powered by Sun」と書いていただいています。そういったお客様のニーズを充分理解して、それを実現するテクノロジを開発・提供する、という態度がサンのテクノロジを育てていると思う。Project Blackboxもその一例だろう。
4.IT技術の中で、もっとも多くの人・装置に使用されているのが、Javaだ。現在、約55億台の装置でJavaが使われている。それだけの量があるというだけで、価値が創造される。今日、この「量」はどうなっているか、というと、
- 10億人以上の人がネットワーク上に
- 年間300億の荷物が出荷
- ピーク時には1日20億以上のテキストメッセージが送信
- 毎秒390ギガバイトのデータが作成される
- 新しいデータの成長率 50%
Javaは人類にとって不可欠なものになった。次に考慮しなければならないのは、上記のような膨大な量を持つものである。
さて、以上のことをジョナサンひとりで考え、実行しているのではない。CTOや営業、開発部門、サポート部門も重要なチームメンバーだ。そしてそのリーダー達は、
左から、グレッグ・パパドプラス(CTO, and Research&Development)、ドン・グランサム(グローバル・セールス・アンド・サービス)、ジョン・ファウラー(システムズ・アンド・ストレージ)、リッチ・グリーン(ソフトウェア)、デービッド・イェン(マイクロエレクトロニクス)の各EVP。