9.11以降、私はテレビを見なくなった
その日、ニュースステーションでの渡辺真理さんの強張った顔と、雲のないニューヨーク・マンハッタンの画像が記憶から消えない。
あの後の数日間は、私はテレビを見てはどうなったのかを追っていた。サンの社内では、マサチューセッツ州在住の開発・研究部門のディレクターが世界貿易センタービルに突っ込んだ飛行機に乗っていることがわかった。たしか、ユナイテッドの175便の方だったと思う。ユナイテッドの機体がビルに吸い込まれるようにぶつかる映像が、何度もテレビで放映されていた。
2000年にサンフランシスコでSWIFTのコンファレンスがあり、参加したところ、米国在住の日本の銀行の方々もいらして、お話をすることができた。ある金融関係の方はこのSWIFTのイベント展示にニューヨークからいらしていた。オフィスは世界貿易センターだったように覚えている。あの人たちは、大丈夫だったのだろうか。直接、お話をした人たち。女性もいらした。
数日が過ぎ、行方不明の人の名前が徐々に紹介され、日本人もいるようだった。飛行機をハイジャックしてビルに突っ込んだ犯人も分かってきた。しかし、何度も衝突の映像が流れるごとに、あそこには人がいるではないか、なんで人びとが死んでいく状況を、私は居間で、のんびりしながら眺めているのだ、と、とてもつらくなっていった。
そして、だんだんテレビを見ないようになった。テレビは前に積まれた本のかたまりに完全に隠れてしまい、いまやテレビとして機能しなくなった。
ただ、少しだけ気にかかることがある。このテロで犠牲になった、多くの日本人がいる。ご遺族の方が、こういったWebのサイトを公開されている。今晩も午後11時ごろに多くのニュース番組があるが、このなかでご遺族についてのニュースがあるのだろうか。我々はこの9.11のことを、ずっと忘れないでいられるのだろうか。
追記(9月12日):サン・マイクロシステムズの犠牲者は、フィル・ローゼンズィッグ。ユナイテッド175便かと思っていましたが、アメリカン・エアライン11便で、最初に世界貿易センターに突っ込んだ方に乗っていました。奥様とふたりの子供がいるようです。