AI投資がクラウドインフラ支出を牽引:2024年第2四半期のIDCレポート
IDCは2024年9月30日に2024年第2四半期のインフラ支出に関する最新のレポートによると、クラウドインフラ市場は引き続き驚異的な成長を遂げており、その主な推進力はAI関連プロジェクトです。
IDC(International Data Corporation)の「Worldwide Quarterly Enterprise Infrastructure Tracker」によると、クラウド展開向けのコンピュートおよびストレージインフラ製品への支出は、前年同期比で61.5%増加し、総額429億ドルに達しました。この成長は、主にShared Cloudインフラへの投資拡大によって支えられています。
Shared Cloudインフラへの支出が急増しており、2024年第2四半期には前年同期比74.9%増の353億ドルに達しました。クラウド全体のインフラ支出の56.6%を占め、依然としてクラウド市場における最大のシェアを維持しています。一方、dedicated cloudインフラへの支出は同期間で19.2%増の76億ドルと、安定した成長を見せています。
この成長を牽引しているのが、AI技術に対する急速な投資拡大です。特にGPUサーバーの出荷台数の急増が、インフラ支出の重要な位置づけとなっています。
IDCのリサーチディレクターであるフアン・パブロ・セミナラ氏は「AI投資の優先順位が世界中で拡大しており、これがサーバーとエンタープライズストレージへの支出を押し上げている」と述べています。また、主要なハイパースケーラーやデジタルサービスプロバイダー、クラウドサービスプロバイダーがこの成長を支え続け、今後も市場にポジティブな影響を与えると予測しています。
地域別に見ると、2024年第2四半期におけるクラウドインフラ支出は、すべての地域で力強い成長を示しています。特にアジア太平洋地域(日本・中国除く)は前年同期比110.7%増と、最も高い成長率を記録しました。日本(98.1%増)、米国(72.1%増)、カナダ(53.8%増)も顕著な成長を見せています。その他の地域も堅実な成長を遂げており、中央・東ヨーロッパ(48.7%増)、西ヨーロッパ(27.7%増)、中国(24.8%増)、中東・アフリカ(23.4%増)、ラテンアメリカ(9.7%増)が続いています。
IDCの予測では、クラウドインフラ支出は2024年全体で前年同期比48.8%増加し、1640億ドルに達すると見られています。そのうち、Shared Cloudインフラの支出は1319億ドルに達し、前年同期比57.9%増と予測しています。一方で、非クラウドインフラの支出は11.7%の増加に留まる見通しです。これは、クラウドへの移行が進む一方で、依然としてオンプレミスシステムが一定の需要を保ちながら回復基調にあることを示しています。
2023年から2028年にかけて、クラウドインフラ支出は年平均18.1%で成長し、2028年には2530億ドルに達する見込みです。Shared Cloudインフラは年平均18.9%の成長が予測され、2028年には全体のクラウドインフラ支出の78.6%を占めるとされています。また、dedicated cloudインフラも15.3%の成長を見込み、同年には543億ドルに達すると予測しています。
クラウドインフラ支出の急速な成長は、特にAI関連技術への投資拡大によって支えられており、今後数年間にわたり市場に強力な影響を与え続ける見通しです。Shared Cloudインフラがその中心となり、サービスプロバイダーを通じてさらなる投資と成長が期待されています。企業は、この変化を見据え、AI技術やクラウドインフラの動向に敏感である必要があるとしています。
出典:IDC 2024.9.30