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宇宙での利用が期待される光通信技術の利点と課題

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総務省は2022年4月12日、「情報通信審議会 情報通信技術分科会 技術戦略委員会(第35回)」を開催し、 「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」技術戦略委員会 報告書案(事務局資料)を示しています。

今回は、この中から、宇宙での利用が期待される光通信技術の利点と課題についてとりあげたいと思います。

世界の光衛星通信市場は、2027年に約4,660億円規模に成長することが期待されています。

Transparency Market Research社が発行した市場レポートによると、世界の光衛星通信市場は、高速大容量通信に対する需要の高まりにより、2017年の297百万ドル(約327億円)から2027年には4,238百万ドル(約4,660億円)の規模に成長すると予測しています。

市場規模では北米が圧倒的な地位を占め、欧州、アジア太平洋地域がそれに続くと予想しています。

光衛星通信のアプリケーション別では、バックホール、監視、地球観測、エンタープライズ・コネクティビティ、ラストマイル・アクセス、宇宙探査、通信サービスなどがあげられています。

宇宙で光通信を使う利点・課題についてもまとめられています。

光通信の利点

・高速大容量のデータ通信が可能(数Gbps超の伝送速度、電波による通信の10~100倍が可能)
・電波の周波数資源の枯渇に対応、国際的な周波数調整が不要、無線局免許が不要
・高秘匿性のある通信が可能(電波よりもビームを絞って送信できるため、傍受されるリスクが低い)
・衛星バスの負担軽減(低消費電力化、小型軽量化)
・地上受信局の小型化が可能。企業本社ビルの屋上やデータセンター敷地に設置可能。可搬型も実現
・光学系機器を得意とする日本企業の出番

光通信の課題

・曇天・降雨など天候によっては通信を行えない。
・ビームを精密に相手に向ける高精度な捕捉追尾技術が必要。一度リンクが外れると、再捕捉するまでに数十秒~数分を要する。
・レーザー光を用いるので、人体への安全性(アイセイフティ)への配慮が必要
・相互接続を可能とする国際標準化が必要

スクリーンショット 2022-04-23 102238.png

出典:総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会 技術戦略委員会(第35回)2022.4

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