オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

Beyond 5G と将来の量子ネットワーク

»

総務省は2022年4月12日、「情報通信審議会 情報通信技術分科会 技術戦略委員会(第35回)」を開催し、 「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」技術戦略委員会 報告書案(事務局資料)を示しています。

今回は、Beyond 5G と将来の量子ネットワークのイメージについてとりあげたいと思います。

Beyond 5G に関連する先進技術分野として、量子コンピューティング、量子センシングや、光時
計等といった量子情報機器・デバイスが相互に接続され、量子情報(量子ビット)が流通する「量子インターネット」の実現が期待されています。

具体的には、現在、総務省・NICT が研究開発を進めている量子暗号通信技術(量子鍵配送(QKD))が量子通信の中継やネットワーク構築等を実現する上での基盤技術となり、これを応用・発展させることにより、将来的(2040 年頃)には、古典ネットワーク(Beyond 5G、6G、7G)層と量子鍵配送ネットワーク層の上に、衛星・地上でグローバルに量子ビットが流通する量子ネットワークが構成され、これらのネットワークを活用した量子アプリケーション・サービスが提供されるという、究極のセキュアネットワークが構想されています。

その図のイメージが以下のとおりです。

スクリーンショット 2022-04-23 094750.png

出典:総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会 技術戦略委員会(第35回)2022.4

このため、Beyond 5G に向けて中長期を見据えた技術課題として、研究開発等に取り組む必要があるとしています。

産学官で取り組むべき Beyond 5G 研究開発課題 の一つに、量子ネットワーク技術をあげています。

量子の性質を利用した暗号通信、ネットワークにより絶対安全な通信の実現を目指しています。

量子ネットワーク技術の研究

目的・概要は、以下のとおりです。

 量子の性質を利用した暗号通信ネットワークにより絶対安全な通信を実現
(現状・技術課題)
 将来実用化が見込まれる量子コンピュータによっても盗聴やハッキングが不可能な暗号通信技術が必要
 量子暗号だけでは実現不可能な広域・多地点の通信を可能にするため、様々な暗号技術を組み合わせた量子セキュア通信が必要

2030 年までの実現目標は、以下のとおりです。

 暗号鍵を光子に載せて伝送することにより理論上傍受不可能な量子暗号通信の普及
 地上系・衛星系を組み合わせた量子暗号通信の長距離化
 研究開発の国際ハブとなる量子イノベーション研究拠点の形成
 クラウド内で量子暗号を用いる量子セキュアクラウドの実用化(主な要素技術)
 量子を用いても不特定多数に公開鍵を配信できる量子鍵配送(QKD)技術
 衛星を用いて公開鍵を長距離に配信する衛星 QKD 技術
 量子もつれを利用した量子中継技術

こういった状況の中、量子ネットワーク技術の研究開発課題(重点研究開発プログラム)の方向性では、

【③自律性確保】中国、米国、欧州と熾烈な開発競争が行われる研究領域ではあるが、社会やビジネスを根底ではから変革する領域
【④国家戦略上の位置づけ】新資本主義実現戦略、量子イノベーション戦略、関係府省と連携し他の量子研究分野のシナジーも活かした研究開発
【⑤先行投資】量子暗号の研究開発実施中、量子インターネットは中長期フェーズ

といった点をあげています。

Comment(0)