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デジタル・トランスフォーメーション(DX)を進める際の課題は、日本は人材不足が顕著に。 ~ 令和3年版情報通信白書

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総務省は2021年7月30日、「令和3年版情報通信白書」を公表しました。何回かに分けて、とりあげたいと思います。今回は、「第2節 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題」から、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を進める際の課題としてトップとなっている人材不足を中心にとりあげたいと思います。

DXを進める上での課題について調査をしたところ、「人材不足」はいずれの国でも上位に来ているが、日本は特に多く、ダントツの1位となっています。

他には「費用対効果が不明」、「資金不足」、「ICTなど技術的な知識不足」、「既存システムとの関係性」といったあたりが上位となっていいます。一方、米国では、「業務の変革等に対する社員等の抵抗」、「規制・制度による障壁」、「文化・業界慣習による障壁」も他の2か国と比べて高くなっているのが特徴的となっています。

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デジタル・トランスフォーメーションを進める際の課題
出典:令和3年版情報通信白書 2021.7.30

いずれの国でも上位に挙がった人材について、具体的にどのような人材が不足しているかの問に対して、DXの主導者や新たなビジネスの企画・立案者等、いずれの人材も「大いに不足している」又は「多少不足している」と回答した企業が、いずれの国でもほぼ6割以上となっています。

他方、日本は他の2か国と比べて「そのような人材は必要ない」との回答比率が高く、「UI・UXに係るシステムデザインの担当者」、「AI・データ解析の専門家」については1割程度の企業がそのように回答しています。

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デジタル・トランスフォーメーションの推進にあたって不足している人材
出典:令和3年版情報通信白書 2021.7.30

不足しているデジタル人材の確保・育成に向けて各企業がどのように取り組んでいるかの問いに対して、日本では「社内・社外研修の充実」を挙げる企業が多い一方、「特に何も行っていない」との回答比率も高く、社内の現有戦力で乗り切ろうとしている傾向が伺えるとしています。

他方、米国は「デジタル人材の新規採用」、「デジタル人材の中途採用」、「関連会社からの異動・転籍」が他の2か国よりも多い。もともと雇用が流動的な国であるが、社内で不足する人材は外部から積極的に登用しようとする姿勢がみてとれるとしています。特に、日本の場合は、デジタル人材の採用は消極的です。

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デジタル人材の確保・育成に向けた取組
出典:令和3年版情報通信白書 2021.7.30

日本ではICT人材がICT企業に多く配置されていることが指摘されています。令和元年版情報通信白書に掲載した独立行政法人情報処理推進機構の調査によると、ICT企業に所属するICT人材の割合は、2015年時点で日本が72.0%であるのに対し、米国では34.6%、英国では46.1%、ドイツでは38.6%等となっており、ユーザ企業におけるICT人材の確保は以前からの課題となっていると指摘しています。

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主要国におけるICT人材の配置
出典:令和3年版情報通信白書 2021.7.30

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