DX解説(28)単なるPoCで終わらせないために
DXの推進に向けてPoCからはじめるケースが多く見られますが、PoCのみで終わってしまうケースというのも少なくありません。
DX推進する企業の中から、PoCからどのように事業につなげていくのか、いくつかとりあげたいと思います。
ANAでは、IT部門自らが運航情報等の既存ビッグデータの分析・仮説検証やIT・デジタルイノベーションの視点を持つ人員の積極活用等に取り組み、既存事業やシステムの将来像を考えながらサービスをデザインし、PoCを進めています。
将来事業をつくるDD-Lab(デジタル・デザイン・ラボ)等とも密に連携し、IT・デジタルの活用によるイノベーションを通じて持続的な顧客体験価値の向上を目指した組織文化を根付かせるといった取り組みをしています。
SOMPOホールディングスは、デジタル関連予算を工夫したPoCの取組をしています。デジタル関連予算はPoCまでをデジタル戦略部、その後の本番化はグループ内の事業会社が負担。このため、すぐに利益のでないもの、リスクの高いものに挑戦しやすい組織文化を醸成しています。また、企画段階から既存の事業部を巻き込むことで、ウォーターフォール型から、アジャイル開発やデザイン思考のモデルへ変化を促しています。
企画・検証と開発・本番化を分離することでDXに取り組みやすい企業文化を醸成しています。
出所:経済産業省 デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 中間とりまとめ 2020.12
みずほフィナンシャルグループは、単なるPoCで終わらせないための取組をしています。
みずほフィナンシャルグループでは、単にPoCを実施して終わりでなく、事業化までのポテンシャルがある案件を実績として評価しています。
目に見える形で実績を積んできた結果、社内で公募をかけると100人程度応募があり、組織文化が変わりつつあり、今後は、PoCで経験を積んだ人員を既存事業部に戻し、既存事業部を変え・成長させていくとしています。
出所:経済産業省 デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 中間とりまとめ 2020.12
※経済産業省は「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 中間とりまとめ」(2020年12月28日)を公表しており、この資料からも適宜引用しています。