DX解説(23)デジタル人材の育成・確保に係る構造要因は、「ビジネスモデルの変革の遅れ」、「経営(DX)戦略の不在」
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経済産業省は2021年2月4日、「第1回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」を開催しました。
今回は、この中から、デジタル人材政策の課題についてとりあげたいと思います。
デジタル人材の育成・確保に関しては、育成・確保への取組が進まない構造的な課題(マクロな課題)と具体的な育成・確保の手段やツールに関する課題(ミクロな課題)が存在していると指摘しています。
構造的な課題(マクロな課題)では、
デジタル(IT)企業のデジタル人材の確保・育成に関する課題は、企業のビジネスモデルに起因している点をあげています。
- 人月単価と多重下請による従来型の受託システム・ソフトウェア開発、SIビジネスへの依存からの脱却の遅れ
- 技術力を競争力の源泉とせず、投資(プロダクト・サービス開発、人材)リスクを取らない経営体質と低収益性
- ハイレベルな人材を活かすマネジメントの不在、年功序列型の雇用形態、流動性の低さ
- 魅力的な仕事と雇用環境を持つテックベンチャーや外資IT企業へのハイレベル人材が集中
また、デジタル技術を活用するユーザー企業のデジタル人材の確保・育成に関する課題は、デジタル技術を活用した経営(DX)の戦略の不在に起因しているとしています。
- 自社情報システムの開発・運用のSIer等に依存し、内部の人材確保や育成投資に怠り、IT活用・デジタルの競争力で劣後
- DXで先行する企業では、DXを経営戦略として打ち出し、DXを推進するためのリソース確保(外部人材採用、社員育成等)の動きも見られるが、具体的な経営(DX)戦略を持つ企業が少なく、デジタル技術を活用したビジネス創出や開発能力を持つ人材を育成・確保に遅れ。また、経営者のデジタルに関する知識も不足にも課題
マクロには、ビジネスモデルの変革の遅れ、経営(DX)戦略の不在がデジタル人材の育成・確保に係る構造要因となっており、 抜本的・自律的な課題解決に結び付けるためには、ミクロな課題への対応と並行してマクロな課題への対応を進める/マクロな課題の解決にもつながるミクロな課題への対応策を打ち出すことが必要であるとしています。
出所:経済産業省 第1回 デジタル時代の人材政策に関する検討会 2021.2
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