オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

デジタル・ビジネス推進の障壁は、「人材」「技術力」「予算」、そして、「抵抗勢力」も

»

調査会社のガートナーは2018年8月20日、「日本企業におけるデジタル・ビジネス推進(PDF)」に関する調査結果を発表しました。

ガートナーが、企業の情報システムのソーシング担当者を対象に実施したWeb調査の結果、デジタル・ビジネスを推進する上で人材不足が最大の障壁であるのに加え、技術力予算の適切な確保も課題であることが明らかになっているとしています。

スクリーンショット 2018-08-21 12.57.06.png
出所:ガートナー 2018.8

デジタル・ビジネスで必要とされる人材は、企業の働き方や文化の改革を推進する能力を持った人材であり、要求される能力も極めて高いものになり、今回の調査でも、日本企業においてデジタル・ビジネスを推進するための人材の確保は困難であることが示されています。

障壁の2位のた技術力不足に関しては、長期にわたる日本経済の低迷により、企業でのIT投資が抑制されていたことが影響しており、大規模ITプロジェクトを企画から経験した人材が少なくなり、さらに高齢化や採用の凍結、アウトソーシング指向の高まりなどもあって、レガシー・システムを中心に、限られたIT
経験しか持たない人材が増えているとしています。そのため、デジタル・ビジネスに取り組もうとしてもIT部門内に技術力が不足しているケースが散見される状況となっています。

障壁の3位の予算では、デジタル・ビジネスの予算化や妥当性の確保の難しさに加え、経営陣にデジタル・ビジネスに投資する意向があっても、保守運用とコスト削減が業務の中心であったIT部門にとっては、新しく企画・提案する能力が欠如していることが背景にあると分析しています。

今回の調査では、デジタル・ビジネスの推進における抵抗勢力の存在についても明らかになっており、「抵抗勢力がある」とした回答者は全体の39%に上ります。抵抗勢力の部門については、最も多かった回答が「経営トップ」、次いで「財務・経理部門」「業務部門」「営業部門」の順となっています。

スクリーンショット 2018-08-21 13.03.06.png

出所:ガートナー 2018.8

ガートナーでは、IT部門が主導するデジタル・ビジネスの成功のために、IT部門は、役員自らのコミットメントや、具現化に向けて経営サイドを巻き込める環境の構築を目指し、経営/役員層を関与させていくことが肝要であり、そのためには、CIOやIT部門のリーダー1人1人が、経営レベルを納得させるビジネス知識や交渉能力を持ち、社長との信頼関係を構築できるようになることの必要性を示しています。

また、他の部門の抵抗が強い場合は、その部門への対策をしっかりと行うことが重要です。社内の抵抗勢力とどう折り合いをつけていくのかが、今後のデジタル・ビジネス推進の課題と指摘しています。

Comment(0)