MicrosftとYahoo!とGoogleそしてApple等の動きで進化するモバイルプラットフォームビジネス
米Yahoo!は2月11日、米マイクロソフトの買収提案に対して拒否することを発表しました(関連記事)。ヤフーが買収拒否をするのは、過小評価とされる買収金額に対して金額の引き上げを引き出すための動きとする見方もあるようです。マイクロソフトが敵対買収に踏み切る可能性も否定できません。そして、ヤフーは、11日の英TIMESの情報によると、グーグルとのネット広告分野での提携やAOL、米Disneyとの提携の検討も視野にいれているようです。
マイクロソフトのヤフー買収、もしくはヤフーとグーグル等との提携によって、特に今後のモバイルビジネス市場において勢力図を大きく塗り替えることになり、市場にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。
また、日本においては、NTTドコモがグーグルと正式提携をし、iモードでYouTubeやGmail等を利用できるように開発を進めています。また、アップルとiPhoneの販売に向けての交渉も始まっています。そして、ソフトバンクの孫社長も携帯電話について“2008年はインターネットマシーン元年”になると述べ、モバイル分野におけるビジネス領域の拡大についての意気込みが感じられます。
世界に乗り遅れる日本の携帯電話市場
“携帯鎖国”や“ガラパゴス化”等、日本の携帯電話の市場は、ICT分野の国際競争に乗り遅れた象徴的なビジネスとして、批判されるケースも多く、携帯電話事業者は、急激に舵取りの変更を余儀なくされているように見受けられます。日本のモバイルビジネスは、今、垂直統合型モデルから水平分散型のオープンなビジネス環境に変化しようとしています。
では、最近良く目にする“垂直統合”や“水平分散”とは具体的にどういうことを指しているのでしょうか?
総務省は、2月6日、「電気通信事業分野における競争状況の評価2007」を発表しました。
主に、携帯電話に関する“プラットフォーム機能が競争に及ぼす影響に関する分析”の中間取りまとめの公表になります。モバイル市場においては、コンテンツ・アプリケーションレイヤー、プラットフォームレイヤ、通信サービスレイヤ、端末レイヤ等の4層のビジネスモデルを構成しています。プラットフォームのビジネスモデルにフォーカスしてみるとどうでしょうか?“電気通信事業におけるプラットフォーム(例)”の図を見ると、固定ブロードバンドは、通信事業者が提供していない部分が多いに対して、携帯電話事業者は、検索を除くすべてのプラットフォームを提供、つまり、垂直統合型のビジネスモデルを提供しているのです。
現在、アップルはiPhoneの日本での販売においてNTTドコモやソフトバンクモバイルと提携交渉を進めている模様ですが、どちらかの携帯事業者が提携にこぎつけることができれば、契約者の増加にはつながるかもしれません。しかし、プラットフォームビジネス領域の拡大という観点においては、プラットフォームの領域を奪われてしまうため、逆にマイナス効果になってしまうかもしれません。アップルは、iPhoneの端末からiTuneのプラットフォームまで独自の垂直統合型のモデルを形成しており、iモードの携帯網ではなく、直接インターネットにアクセスすることによって、携帯電話事業者は単なるインフラ事業者になるリスクを抱えています。
グーグルが“Android(アンドロイド)”による共通プラットフォーム化を目指し、Windows MobileやSymbian OS等との覇権争いも激しさを増すでしょう。2008年は、ビジネスモデル自体が大きく変化することが予想されますので、その激しい市場の動きにキャッチアップするためにも、インターネットと携帯ネットの異なるレイヤ別のビジネスモデルを整理しながら、今後の市場動向を見ていくと良いのではないかと思っています。