エンジニアを幸せにできる受託開発の新しいカタチ - その1
先日、株式会社ソニックガーデンの倉貫さんにお会いしてきました。倉貫さんは、ソニックガーデンを設立し、「納品のない受託開発」という新しいかたちの企業向けソフトウェア開発のサービスを展開しています。従来の 「人月」ベースの受託開発では、エンジニアを幸せにできない。そんな思いから生み出した新しいビジネスモデルについて伺ってきました。
プログラミングはアーチストのもの
倉貫さんは、ソフトウェアで一生食っていこうと思ったきっかけに、エンバカデロ(当時ボーランド)のツールとの縁があったそうです。大学の研究室では、C++Builderを買って使っていたそうですが、ベンチャーのソフト開発会社で、C++Builderを使えることが条件というアルバイトを募集していたそうです。「自分使える!」と働き始めたそうですが、学校と違う本当の現場のプログラミングの楽しさをそこで知ったのだそうです。
このときの開発スタイルは、今思えばアジャイルだったのですが、大きな会社に就職してみると、全然アジャイルじゃない。エンジニアは、仕様書通りに作るしかなく、プログラミングは面白い仕事じゃなくなっていたのです。
倉貫さんいわく「ソフトウェア開発やプログラミングはアーチストのもの。大量生産はできない。では、どうしたらエンジニアが生き生きとやっていくことができるのか。このことを、創業以来ずっと追求してきました。」
― DelphiやC++Builderはアジャイル開発に向いている。でもツールをどう活かすかは、開発のやり方に依存してしまう。
プロセスだけ変えてもうまくいかない
私たちは、つい「アジャイル開発がその答え?」と安直に考えてしまいます。でも、倉貫さんは、受託開発でアジャイルを採り入れてみたものの、それをとりまく契約やビジネスモデルがあるために、うまくいかないことに気付いたそうです。
現在の多くの受託開発は、一括請負という形態を採っています。機能一覧があって、それをすべて実装することでお金をもらう。決まってしまうと、決まったものを作るしかなく、どちらもハッピーになれないのです。しかも、人月モデルでは、生産性を上げると納期が短縮されて、むしろ利益が下がってしまうというおかしなことになります。非効率が歓迎されるなんて、何か間違っていますよね。
― 本来ツールを導入して生産性が上がれば、その分利益も出るし、お客様もハッピーになるはず。でも、現在の収益構造のままでは、ツールの導入がかえって利益を下げることになりかねない。
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ということで、話は核心の「納品のない受託開発」へと進むのですが、続きはまた明日。