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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

データベース「ギア」な一週間

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今週は、エンバカデロ本社より、データベースツール担当のシニアプロダクトマネージャ グレッグ・ナポーニが初来日し、記者説明会やセミナーなど、精力的に活動しました。

Er_seminar

エンバカデロは、昨年7月に、DelphiC++BuilderJBuilderといった製品を持つボーランドの開発ツール部門を買収・合併し、元々のデータベースツールに加えて、アプリケーション開発ツールまでをそろえるベンダーとなり、同時にグローバルな組織になりました。

ということで、これまで米国を中心に活動してきた彼らが、日本をはじめとするアジア各国をツアーすることも初めてならば、アプリケーション開発者中心であまりデータベースツール系の露出がなかったところへ、それらの製品を紹介するのも、新鮮だったりするわけです。

もっとも、日本では、日揮情報システムさんが、2000年よりER/Studioを日本語化して販売していましたので、この製品に関しては、多くのユーザーを抱えています。今回、ER/Studio 8.5の日本語版を出します、というお知らせをしたのですが、日揮情報さんとのパートナーシップで、彼らの長年にわたる経験と、一方で、ボーランド時代から培ってきたローカライズのノウハウを融合して、新しいローカライズプロセスを確立しつつあります。

Delphiなどの開発ツールでは、もはや当たり前のようにやっている世界同時リリースですが、言語の垣根なく、最新版を利用でき、アップデートもグローバルに利用できるというメリットがあります。普通のことのようで、これはかなり大変なプロセス改善が必要です。

伝統的なローカライズ作業は、出来上がった英語版を日本語版に「作り変え」ます。これだと時間差ができるだけでなく、日本語版は英語版の完全なサブブランチになってしまうため、どのタイミングで英語版にマージできるのか、という問題が発生します。このマージができないと、日本語版は、英語版で行われたアップデートを享受できません。

Process_a

現在、エンバカデロが行っている作業は、国際化とローカライズを切り離し、ローカライズを可能な限り翻訳プロジェクトにすることです。日本語向けの機能は、基本的に英語版で実装されていなければ、サブブランチ化を回避できませんので、「リソースがたまたま日本語」というつくりになるように、ツールのありかたを再構成しているのです。

Process_b

ER/Studioの既存ユーザーの皆さんは、まだ、この方式によるメリットを実感できないかもしれませんが、近い将来、製品のアップデート、キャッチアップのスピードが、目に見えて変わってくると、なるほど、と納得いただけるのではないかと思います。

さて、ER/Studio 8.5日本語版は、年内リリースを予定しており、いよいよ2010年に向けて、データベースツールのギアチェンジをして、一気に加速ともくろんでいます。

ちなみに、グレッグは、トランジットを除き、日本に降り立ったことはなかったそうで、「本物」の日本食には大満足。刺身、寿司、串揚げ、蕎麦…、庶民的なところばかりでしたけど、バラエティ豊かな日本料理を、全部iPhoneに収めて帰っていきました(現在台湾、台風大丈夫か?)。

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