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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

PRのはなし

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亀田家の謝罪会見じゃないけれど、記者会見がかえって逆効果みたいな事態に至るさまを見ていると、PRとは何か、ということを思い出します。

PR、つまり、パブリックリレーションズは、マーケティングの重要な仕事のひとつです。以前説明した、プロダクトマーケティングとフィールドマーケティングに加えて、もうひとつの柱といえます。PRの特性は、「広告とPRは何が違うの?」という質問に答えることで明確になります。

広告は、自らお金を払って自社のメッセージを伝えます。一方、PRは、お金は使わずメディアを通じて自社のメッセージを伝えるのです。メディアは、彼らの見識で、我々の言いたいことを評価して、伝えたり、伝えなかったり、あるいは、批判したりします。つまり、そこには、第三者の目があるため、受け手はより客観性があると理解します。

このような理由により、PRは、広告よりも効果がありますが、第三者がメッセージを伝えるため、我々はコントロール不能です。だからこそ、上手に言いたいことを伝えるための準備が極めて重要です。PRにおいては、以下の2点をよく練らなくてはなりません。

・興味を持つ話題か?
伝えたいことが書いてもらえることではありません。記者は、彼らの読者を想定して記事を書きますから、想定読者が興味を持つ話題を提供できているのか吟味しなくてはなりません。同じことを伝えるにしても、角度を変えてみせることで、興味の度合いは違ってきます。製品を紹介したいからといって、機能の羅列になっていないかどうか、想定読者の興味に関係して語っているかどうかを確認するべきです。

・言ったことがどのような結果をもたらすか?
こう言うとどう報道されるのか、こればかりは、言ってみないと分からない、というのも正直なところです。でも、可能性を検討していると対応も違ってきます。よく、想定問答というのを作りますが、私は、質問と回答を列挙するのが主眼ではないと思っています。むしろ、「こう質問されたら、こう回答する、その結果どうなる?」というのを考えるきっかけなのではと考えています。だから、問答集は実際の記者会見では見ないのですね。

こうした心構えをしておくと、取材や記者会見といっても受身ではなくなります。能動的に動けば、亀田家みたいにはならないはずなんですが、目の前のやり取りだけにしか気が回らないと、失敗しちゃいますので注意が必要です。場をわきまえない発言って、よくいいますが、場を掌握できていないから、わきまえられないんだと思います。

また、いっぱい書いてもらいたいからといって、不確かなことをサービスでしゃべっちゃうのも慎むべきです。記事の文責は記者にありますから、不確かなことが記事になって誤報のようになってしまうのは、そのメディアの信用性に影響を与えますから、サービスでもなんでもないんですね。

ところで、PRの重要な仕事のひとつに、社内向けのメッセージというものがあります。いくら外向けに会社のメッセージを伝えても、一番のメッセンジャーである社員ひとりひとりから、それがかもし出されてこなければ、現実味はありません。しかし、「私たちは変わりました」なんてメッセージを一番理解していないのは社員だったりして、頭では分かっていても、日々の行動に長い間身についた習慣が表れてしまうものです。だから、ほんとのところ、これがPRで一番根気のいる仕事なのかもしれませんね。

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