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全員が脇役のオーケストラ

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先日、クラシックコンサート初心者(そんな言葉ナンセンスか?)から、「拍手のタイミングはもちろんだけど、演奏中どこ見ていればいいのか分かんないんだよね」なんてことを言われた。好きなところ見てればいいじゃん、とも思うのだが、なるほど、たしかにオーケストラというのは、まああまり派手な動きのない、見せ場のない集団である。

そもそも、オーケストラは、ダンスやオペラの音楽担当の裏方であり、花形ソリストによるコンチェルトなどの伴奏であるわけで、彼らだけの演奏といっても、特別主役がいるわけでもなく、全員脇役だ。その証拠に、演奏会では、指揮者がお辞儀をしても、脇役として直立不動でいるのだ。

しかし、指揮者が主役というのもおかしい。指揮者は、いわば演出家であり、監督であるわけで、映画でいえば、ディレクターチェアに座ったスピルバーグが、画面の手前にいつも映っているようなもんだ(オースティン・パワーズか?)。

唯一の違いは、その場で音楽が作られていくこと。念力なのか、気なのか分からないが、一切の発音装置を持たない指揮者のタクトから、オーケストラメンバーを通じて、音楽が絞り出されていく。もちろん彼らにも、自分の音楽があり、実際は、指揮者と演奏者の気のぶつかり合いなのかもしれない。

してみれば、脇役であるはずのオーケストラは、決して受動的であってはならないわけで、「オレの音楽を聴け!」と気張らないにしても、積極的に音楽を作りにいかなければならない。アマオケ人は、概して受動的に音を出しがちになるのだが、純粋に好きでやっている彼ら(自分ら)こそ、もっと積極性を持たなくてはならないのだろう。

さて、こんなことを考えてみれば、演奏会で何を見ればいいか、という問いに対する答えが見えてくる。全員脇役である彼らも、自分から積極的に音楽を作りに行くシーンがそこにある(なければそれはつまらない演奏会だ。怒っていい)。野球にたとえるなら、一球ごとに捕球体制を作る野手を見るようなものか。野球場に行ったらピッチャーばかり見てないで、野手の動きにも注目してよ、といった感じだ。え、マニアックすぎる?ビール飲んでたほうがいい?

すみません、演奏会場は飲食禁止でございます。

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