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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

サービスインフラの集中化と国際化、「日本は特殊」に潜むリスク

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日本語Webサイトのオープンに続き、いくつかの追加サービスを日本向けに利用できるように変更を加えています。

そのひとつがニュースグループ。ニュースグループは、古くからユーザー同士のコミュニケーションの場として用意してきていましたが、日本は日本で、独自のサーバーを立てて、世界のコミュニティからは、ずっと独立して存在していました。

世界のコミュニティは英語を中心にコミュニケーションしているので、日本語の情報が飛び交う日本のニュースグループは、別立てでいいようにも思います。しかし、われわれぐらいの規模の会社の場合、インフラ的に別立てするコスト、それから、ワールドワイドで将来的に提供していくであろうサービスに組み入れられないという、大きなデメリットとリスクがあります。従って、日本語での情報提供など、側面を補強してでも、統合してしまうほうがよいわけです。

もうひとつ重要なのは、こうしたローカルのコミュニティ活動が、海外の活動とリンクしうることです。日本は別だから、と独立してやっていると、海外からの目は、何をやっているのか分からない → やっていない → 無視できる、と短絡的な道をたどりがちです。彼らも、中の議論を理解できないにしろ、投稿が多いとか、最近急に活性化してきたとか、傾向は理解できるわけですし、交流も生まれます。

もうひとつ、この種のサービスインフラに、EventCentralという機能があります。CodeGearに関連するイベント情報を自由に投稿できるイベントカレンダーですが、最近まで日本語環境でちゃんと動きませんでした。本社のWeb担当は、イベント情報はここに集約して、メンテナンスを簡単にしようという意図で、このサイトをイベント情報ページとするように変更してきました。CodeGearのWebサイトから、[CodeGearについて|イベント]と選択すると、表示されるようになりました。

日本はちょっとそれだと困るわけで、というなりゆきから、John Kasterに、EventCentralを開発している担当者を紹介してもらって、日本語環境で動くように直しています。現在、一覧表は出るようになっていますが、細かいところにまだ不具合があったり、表示が日英混在になっていたりします。日付表示は、java.text.SimpleDateFormat クラスだから、と、なんか懐かしいJavaクラスが出てきて、時間を見つけてテストプログラムでもこさえなければならない状況になってきています。

EventCentralの面白いところは、コミュニティメンバーが自由にイベントを投稿できる点です。ユーザー会あるよ、とか、勉強会やるよ、といった内容も、公開でき、レジストレーションではないけれど、「参加しようと思う」という意思表示をすることもできます。

こういった機能を見ていくと、EventCentralやニュースグループは、われわれが情報提供するのではなく、むしろコミュニティのために情報交換の「場」を提供しているのかなと思います。

さて、こうした共通インフラの採用においては、常に日本の特殊事情を加味する必要があります。とはいえ、議論の端緒で「特殊」から始まるのではなく、やりたいことの本質を理解し、共通項を見出し、その上で違いをつぶしていく作業が重要です。実際のところ、日本は特殊、独自仕様というのはたやすい選択で、一見ユーザー本位のように見えますが、提供できる価値を最大限日本のユーザーの皆さんに提供するというわれわれの存在意義からすると違う気がするわけです。


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ローカライズサービスインフラ

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