市民オーケストラの台所事情
いよいよサマーコンサートまで1ヶ月を切りました。8月上旬には、集中練習も控えています。この時期になるともうひとつ忙しくなるのは、当日配布するプログラム(パンフレット)の作成です。
市民オーケストラは、基本的に団員が支払う団費によってまかなわれています。練習会場の費用やトレーナーの方への謝礼、打楽器などの運搬費などが日常の経費ですが、演奏会となると、ホール代、特殊楽器レンタル費、エキストラ代などなど、さまざまな費用がかかります。(演奏終了後、よく舞台袖から指揮者とコンサートマスターに花束を贈呈する儀式がありますが、あれも自前ですので、花束代がかかります)。団費以外は、チケット代だけが収入源ですが、プロのオーケストラほど高い入場料を設定できませんし、ご招待率も結構高かったりします。大抵の市民オーケストラや学生オーケストラは、「ノルマ」と称して団員一人あたりのチケット割り当てがあり、その分の費用を負担します。
自分の所属しているオーケストラには、このノルマ制はありません。ノルマ制は、政治家のパーティ券のようで、集金が主な目的で、果たして本当に集客力のある人にチケットが渡っているかわかりません。集客と均等なコスト負担を両立した結果、チケットは集客力のある人は多く、ない人はそれなりにもらい、それとは別に団費として費用負担する制度になっています。
ところで、団員の構成比をほどよく維持するというのは至難の業で、やはりあちこちに欠員が出ます。そういう場合には、エキストラをお願いするのですが、これが会計的には痛いところです。数年前、団員比率の低下によって、団費値上げが回避できなくなったとき、団員が少しずつ役割分担をして、コスト削減をしようということになりました。
そのとき以来、自分は(得意分野の?)プログラム作成をやってます。WORDでレイアウト済み完全原稿を作って、印刷用PDFを作成してダイレクト印刷をかけると、かなり安くプログラムを作成できます。
いちおう文字数を指定して原稿依頼をかけるのですが、書くほうもプロではない人がいるので、結構ルーズな文字数で原稿が上がってきます。しかも、盆暮れの進行なのに、締め切りを守ってくれません(泣)。原稿に穴があくこともあり、そういうときは深夜自分でコラムなんか書いて穴埋めをします。
しかし、このプログラム作成、ちょと気を引き締めてやらなくてはならないのは、常任指揮者でもある金子建志氏が毎回曲目解説を書いている点です。金子氏は、マーラーなどの研究書を多数執筆しており、彼の解説を楽しみにしているお客さんも多数いるとのこと。
めったに使わない楽譜入力ソフトを使って、金子氏から送られてきたFAXを見て、深夜譜例を入力する日が近づいています。
蛇足:
オーケストラの楽譜には、入力ソフトでは対応しきれないような特殊な記号が使われていたり、現代ものでは、普通やらないような特殊な記譜法を使っているものがあります。こういった場合には、入力ソフトでベースを作っておいて、画像を直接編集してしまいます。こういったところで、画面ショットの加工で培った職人芸が活きたりします。