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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

まずは事実関係を、ボーランドの開発ツール事業分離

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それではまず、ボーランドの開発ツール事業分離について、事実関係からまとめてみたいと思います。

米国時間の2月8日、ソフトウェア品質ソリューションを提供するSegue Software社の買収、ならびにIDE製品ラインの売却計画を発表というプレスリリースによって、開発ツール事業の「売却」を発表しました。この時点のトーンは、「売却」です。もちろん、原文は英語ですから「売却」なのか、そうでないのか、といった細かいニュアンスを訳語で云々してもしょうがないのですが、当時のニュース、反響を見ても、第一波は、「売却」という印象を与えていました。

その後、デベロッパーリレーションのボスであるいわばIDEの象徴のような社員David IがBDN(Borland Developer Network)にレターを掲載します。彼自身非常にポジティブであること、原点に返って開発ツールに専念したいということなどが伝わってきました。

実はこの間に、日本でもすったもんだがありました。この種のニュースは、当然社内でも完全極秘で進みます。我々のところにおちてきたのも本当に発表直前です。当然上記の「売却」という事実が先に入り、David Iのレターは翌日読みました。ちょうどそのとき、マーケティング部門は、3月に開催するDeveloper Conferenceの企画を進めていました。この間で、「やる」「いや中止だ」「やっぱりやろう」と意見が揺れました。結局「やる」ということになったんですが、その後の流れを見ると、やってよかったんだなと思っています。

Developer Conferenceでは、明確な決定事項をお知らせすることはできなかったのですが、「売却」ではなく「分離」であり、開発者のための新会社「DevCo(仮称です。念のため)」を設立する方向で投資家を募っているということを報告できました。このときの内容は、私が、当時まだマーケティングではなくサポート営業という部門にて、そのサービスの一環として配布しているTech Reportの記事として書きました。

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その後、5月になって新体制の発表がありました。まず、分離前のDevCoの社内組織としてDeveloper Tools Groupが設立され、EMEA(欧州・中東・アフリカ)地域担当副社長だったNigel Brownがボスに就任しました。そして、約180名の社員がここに移籍しています。日本でも私を含め20名弱がここに加わっています。日本のボスとしては、従来チャネル営業を担当していた八重樫が就いています。私の今のボスは彼、ということになります。

さて、「現在の仕事は?」というと、開発ツールに関するマーケティングの立て直し、ということになります。もちろんマイナスをゼロにするだけでなく、プラスにしていかなければならないので、そのためのしかけも作っています。ただ、実際に始めてみてつらかったのは、Webで情報を発信するときのホームベースがないことでした。ALMに突き進むボーランドのWebは、開発ツールのお店としてはあまり適当ではありません。また、残念ながら、コンテンツの更新につていは、あまりスピード感がありません。それに、今後出て行く店子が、大々的に店を改装したり、店の場所を宣伝するのも得策ではありません。そこで、一気に進めてしまったのが、BDNの日本語化です。BDNは、米国ボーランドが作成している開発者コミュニティ向けの情報サイトですが、これもDevCoが引き継ぎます。ようやく国際化対応してきたので、日本語サイトをオープンするところまで共同作業で進めたのです。この件については、すったもんだも含めてあらためて報告させていただきますが、とりあえず情報発信するホームベースを得て、いよいよこれから本格的に活動開始、というわけです。

明日は金曜日。開発ツールのはなしはお休みにして、ちょっとプライベートな記事でも書こうかと思っています。

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