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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

開発者コミュニティサイトBDNの日本語化 その1

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「BDNの日本語化はどうなってるんだ」 ― ユーザーの皆さんからのお叱りの言葉の元は、数年前にBDNの日本語化の計画を日本の開発者コミュニティに公表したことから来ています。

Borland Developer Network(BDN)は、米ボーランドが運営するデベロッパーコミュニティのためのWebサイトです。ここには、ボーランド製品のDelphiをはじめJava、C++、C#などの技術情報が(主にボーランドの開発ツールを使う、というのが前提ですが)、多数掲載されています。掲載しているのは、ボーランドの社員だけでなく、各国のコミュニティの人たち。まさに、コミュニティの情報蓄積の場です。

これまで、日本ボーランドでは、BDNが英語情報だけであったために、技術情報の蓄積という意味では遅れをとってきました。BDN相当の日本語情報をどのように提供できるか、という議論がずっとありましたが、デベロッパーコミュニティのボス David Iが日本のユーザーに「BDNを日本語対応にする」とコミットして、そのレールに乗って待ちモードに入ってしまいました。いわば日本ボーランドとしても、「日本語版BDN待ってます」という受身体制だったのだと思います。

ユーザーの皆さんのBDN日本語版待望の声を前から聞いていましたから、BDNについてもDevCo(ボーランドの開発ツール事業を引き継ぐ新会社の仮称)が引き継ぐという決定は、正直朗報でした。米国でやっている作業は、日本語化というより多言語対応だということは知っていましたから、日本語化するための作業をこちらでやらなければならない、それをさっさと自分でやってしまおうと決意しました。

開発者コミュニティ向けのサイトの立ち上げと運営は、正直大変な仕事です。多くの先輩方の苦労を見てきましたから、それは十分理解しているつもりです。予算、人手、いずれも直接利益を生み出すしかけではないために、カツカツではありますが、インフラやコンテンツだけでなく、イベント、セミナーなどのオフライン活動、さまざまなタイアップ活動などによって、盛り上げていかなければなりません。しかも、その努力を怠れば、情報が陳腐化してゆき、ユーザーを失うという結果に至ります(まさにこれ自身が、「開発ツールビジネスの再生」として我々がチャレンジしなければならない最重要課題のひとつだと自覚しています)。

5月になり、晴れてDevCoのマーケティングとなって、まず、米国と調整しつつ、BDNの全体像を理解する作業を開始しました。BDNは、開発ツールの会社らしく、Delphiで一から作られたWebベースのシステムです。記事をカテゴリごとに表示し、コメントを入れたり、ランキングをつけたりと、いまどきよく見るしかけを自前で作っています。また、コミュニティ参加型の記事投稿システムがあり、WordファイルをポストするとHTMLが自動生成され、これを関係者でレビュー/修正して、承認、公開するプロセスが実装してあります。

このほかに、製品登録と連動しているアカウントシステム、バグトラッキングシステムと連動しているバグレポートシステム、サンプルコードの登録システムなど、まあよくこれだけたくさん自前で作ったなというような膨大な資産があります。

これだけのシステムを限られたリソースで日本語化していくには、優先順位をつけなければなりませんが、前にも書いたように、まずDevCoとしての情報発信の場がないというハンデがありましたから、なんといってもメインの記事投稿、閲覧を可能にすることを第一に挙げました。それから、ここを訪れてくるひとがちゃんと足跡を残してくれるようにアカウントシステムです。バグトラッキングシステムも要望が多いことは理解しています。しかし、同じコードを使っている各国語版でバグ情報は共有されるので、これは日本語で閉じた世界にはできず、単に翻訳すればよいというのではなく、多言語コミュニケーションの仕組みをちゃんと考えないといけないと思っています。

ということで、まずメインの記事投稿、閲覧部分の日本語化に着手したのでしたが、海外の、それも小規模開発チームとの共同作業という、非常に面白い経験をさせてもらいました(ちょっと長くなってきたので続きはあした)。

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