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AUTOSARとドメイン・スペシフィック・モデル

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AUTOSAR (Automotive Open System Architecture)は、自動車の車載ソフトウェアの標準化を推進する団体名であり、仕様の名前でもあります。AUTOSARで策定しているものは、標準アーキテクチャ、開発手法です。車載ネットワークを介した分散処理メカトロニクス・システムのソフトウェア開発を効率化するために、ハードウェアとソフトウェア・コンポーネント間の通信を抽象化しようとしたと、私は理解しています。

今更ながら興味を引くのは、AUTOSARが開発手法と、その延長線にある、開発ツールまでを、当初からスコープしていたことです。

少々、乱暴かもしれませんが、彼らはドメイン・スペシフィック・モデルで言われているような開発環境を作ろうとしていたのではないかと思うことがあります。少なくとも、影響は受けているように思います。

ドメイン・スペシフィック・モデルのビジネス的なモチベーションの一つは、優秀なエンジニアは業界のノウハウを詰め込んだ開発ツールを開発し、普通のエンジニアはツールを使ってアプリケーションを開発することで、コストと品質の両方を追求するということがあるとの事。その結果、その道の専門家がソフトウェアも作成できる環境を作れるようになるという意味と、業界知識を持たないエンジニアが一定水準のソフトウェアを開発できるようになるという意味がありそうです。

これから、車載ソフトウェアの世界に入って来る日本人エンジニアが増えるのは難しいようです。ツールを上手く使うための工夫が必要だと思います。

 

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