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「オルタナティブ」の拠ってたつところ

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「The World is Flat」、ざっとですが読みました。

で、思い出したのが「<帝国>(アントニオ・ネグリ,マイケル・ハート、以文社2003年)」という本。えらく分厚い上に、業界に浸りきった身としては、用語等に反応するにもリハビリが必要だったりします。が、怖いもの知らず的に要約すると(識者の皆様申し訳ありません)、脱中央化されたネットワーク状の支配装置としての「帝国」を政治/生産の形態の面で検討し、その支配対象であり同時に抵抗の主体であるマルチチュード(一昔前なら大衆と訳すか?)が創る「オルタナティブ」の可能性について議論しています。いやおうなくグローバル化する世界の現象と背景にあるものを、「壁」が崩れた後の左翼の視点から分析/検討し、異議申立を試みた本、と説明することもできるでしょう。さらに、お叱りを受けることを覚悟して言ってしまうと、表面的な構造は、「The World is Flat」と似ています。「The World is Flat」をメイン・ストリームとするならば、「帝国」はオルタナティブが拠って立つものの一つを垣間見せているように思えます。「帝国」の第三部(生産の移行)、その中でも3-4(ポストモダン化、または生産の情報化)、3-5(混合政体)、3-6(資本主義的主権、または、グローバルな管理社会を行政管理すること) あたりは私たちの現状に即しながら読めると思います。

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