ヤマト運輸の小倉さんの講演を聞きそびれた話
全体会議では暗い話はしない、と思っていたのだけど、たまには、心の棘の話をしてもいいかなぁ~と思ってした話が、ヤマト運輸の小倉さんの講演を聞きそびれた話。
******************全体会議の話から******************************
今日は20代の私の小さな後悔についてお話したいと思います。
東大の同窓会の仕事を手伝い出したばかりの頃、次の講演会の講師を誰にしようかと言う話になりました。
その時、ある方が、「若い人の意見も聞いてみよう。大里さんは誰の話を聞きたい?」と尋ねてくださいました。
「私、ヤマト運輸の小倉さんのお話を聞いてみたいです」と答えました。
すると「あー、小倉くん!僕、同級生なんだよねー。彼は話も面白いし、コンタクト取れると思うよ。いいんじゃない?」とおっしゃってくださいました。
私が「嬉しい!」と叫ぼうとしたその瞬間、別の方が不機嫌そうに、「小倉か!反対だ!」とおっしゃったのです。
私のびっくりする顔を見て、ご本人も言い過ぎたという顔をなさりましたが、みな黙ってしまい、それで終わりです。
そのうち私はこの会から遠ざかり、このことなど全く忘れていたある日、小倉さんの訃報をメディアで知りました。
すると、急にアラサーだったあの日のことが鮮明に思い出されました。
あのときの私は、私らしくなく(苦笑)、変な遠慮をしました。多分、小倉さんの同級生がいるのなら、また機会はいくらでもあるさ、と安易に考えていたのだと思います。
しかし、チャンスは二度と来なかったのです。私は小倉さんの執筆した本を全部読むほどのファンで、そして彼の講演のCDも買うほどでしたが、一度もお目にかかることはなかったのです。私の本棚にある彼の本の背表紙が目に入るたびに、今でもほんのちょっと苦い気持ちになるのです。
おかしいですよね。私はもっと大きな取り返しのつかないような大きな失敗をたくさんしているのです。例えば中国でのこと。会社に10億円以上の損害を与えました。
なぜあのとき、市場がそんなに大きくないと気が付かず、商品を売り続けたのだろう?おかしいことはいっぱいあったのになぜ、その事実に目をつぶったのだろう、と後悔をしてもしきれない、そんなことをいくつも経験しています。
時間がもどるのならどんなにいいのだろう、と何度できないことを願ったかわかりません。
でも、不思議と悟りというか、諦観の念もあるのです。
あのときの私は明らかに実力が足りなかった、とそうも思えるのです。
その経験があるからこそ、今の私がある、経営者として会社を毎年黒字に導いている、とも思えるのです。
しかるに小倉さんの講演を頼めなかった小さな失敗は、私の人生にどれだけの影響があったのか、ホントのところはわからないのですが苦笑なんだか心の棘なわけです。
多分それは自分がちょっと手を伸ばせば、できることだったのに、ちょっと怯んでやらなかった自分へのバツの悪さ、怠けてしまったという罪悪感なのでしょうね。
まあ、こうやって全体会議の話にさせていただいているので、この失敗もそれなりに意味があったと言えないこともありませんね。
ほんのちょっとの勇気、ほんのちょっとの頑張りで、新しい扉を開けるかもしれない。そしてこういう小さな機会はこれからもたくさんあると思います。しかしどれ一つとして同じ機会ではないので、是非ちょっとの勇気を振り絞って目のまえの扉を皆さんにも叩いてほしいと思います。
「一期一会」という言葉もありますが、
Knock and the door will be opened to you.
(扉は叩くものに開かれる)新約聖書 マタイによる福音7:7-11
小倉さんは敬虔なるクリスチャンだったので、新約聖書の言葉で、今日の話を締めくくりたいと思います。
仕事もプライベートもぜひたくさんの扉をたたいてみてください。
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今だったら誰の話を聞きたいかなぁ~。
今どきの中高生と話してみたいかも。