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顧客の声は「クレーム」ではなく「期待」

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企業の施設見学に年1~2回、行くようにしている。コーポレートコミュニケーションの勉強が目的だが、その会社の文化(社風)が垣間見れて面白い。

***************全体会議での話から*************************

先週、ある企業さんの工場見学に行ってきました。
品質保証部の方がおっしゃっていた言葉にその企業のDNAを感じました。

その企業ではお客様相談室にかかってきたお客様からの電話を、クレームとは言わないそうです。「ご指摘」と言うそうです。英語だとフィードバックでしょう。

「ご指摘」は世間一般で言うと「消費者からのクレーム」にあたることが多いでしょう。商品の味が変だ、商品に異物が入っている、など。

しかし、その企業はそう考えていません。それは、お客様が抱えた困った問題を解決してほしい、という「期待」だと捉えているのです。その期待に応える、ということを使命にしているのですね。

そのため、出来る限り、ご指摘のあった商品は、社員が直接取りに行ってお預かりしているそうです。それが例え100円の商品であろうが同じです。

日本語には、「言霊」という言葉があります。言葉に宿ると信じられた霊的な力。英語だとsoul of words, power of wordsというところでしょう。

クレームという言葉を使うと、加害者、被害者、の意識が芽生えやすいものですものね。言葉から変えているのですね。

ご指摘のほとんどはその企業に非があるものではなく、お客様の事実認識の過ちが多いそうです。しかし、それをお客様にご理解いただくための努力もします。アカウンタビリティ、企業の責任説明です。

臭いが変だというご指摘には、臭いの成分を分析して、ナフタリンに含まれる成分が多いと分かると、保管場所の問題の可能性を暗示する。

虫混入の可能性をご指摘されると、虫の死亡日を測定して、工場出荷日より後であることを証明し、開封後での混入の可能性を告げる、などしています。素晴らしいですね。

とその企業を凄いと思うと共に、皆さんも同じようなことをしてくださっていると思っています。

私たちは顧客がサービスに不満足であることを際立たせるためにクレームと言う言葉を使っています。しかし、それは顧客の期待であるとも理解しています。不満があっても何も言わずにただ立ち去る顧客はたくさんいることを知っているので。


そして顧客に説明責任を果たし、改善策・事故予防策を立てていますね。特にB2Bビジネスを営んでいますので顧客も社内に対して説明責任があることを私たちは知っています。場合によっては顧客のお客様に対して説明責任があることもあります。


やろうとしていることはその企業さんと何一つ変わらないのです。

ところでその企業さんが来社なさった時に、「早く来すぎて受付で待っていたら、通りかかった方々が皆、「ご用は承りましたか?」と声をかけてくださったのが嬉しく、素晴らしい会社だと思いました」とおっしゃってくださいました。顧客志向の社員の方に、皆さんの日々の行動をそういう風に認めていただけたのは、大変嬉しかったです。

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東京に来たばかりの頃のサイボウズに初めて行った時に、受付で、来る方来る方が「ご用は承りましたか?」と声をかけて下さった。20年たって同じことを言われてなんだかこそばゆい。

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