社会人になって大学で学ぼうとする方に手に入れてほしいこと3つ
私は社会人になってから大学院に2回通っている。1回目はバブル崩壊直前に27才で米国のケロッグ経営大学院の門を叩いた。会社を休職してフルタイムで海外で学んだのだ。2回目は3年前、48才で早稲田大学スポーツ科学科社会人修士コースに通った。アークコミュニケーションズ(翻訳やWEBの企画制作会社)を経営しながら平日夜と土曜日に学んだ。
その二つの経験から、社会人になってからアカデミックな機関でこれから学ぼうと思う方々へ是非とも手に入れてほしいことを3つまとめてみた。
1. パスポートを手に入れること
学部を卒業する時点では、ほとんどの職種に対して門戸が開かれている。文学部を卒業しても経済学部を卒業しても、製薬業に勤めることだって、銀行に勤めることだってほぼすべての業界で可能である。
職種にしても、人事部で採用されることも、営業で採用されることも、可能性で行けば等しくある。(もちろん学科による有利・不利はある)
しかしながら、一旦社会人になると、経験をベースにキャリアアップすることがほとんどだから、メーカーでエンジニアをやっていた人がいきなり金融業界に勤めることは難しくなってしまう。
だが一旦大学で勉強しなおすと、「ビジネススクールでファイナンスを専攻していました」という錦の御旗?を掲げて転職活動が出来るのだ。
大学で学ぶことは新しい分野への挑戦権を得ることなのだ。もちろん、それは「仕事が出来るかどうか」について保証するものでは全くないが。挑戦権があるって・・・本当に素晴らしい!!!
2. 志を同じとする仲間を得ること
どんなコミュニティでも気の合う仲間は見つかるものだ。例えば学部時代の友達は青春時代を損得抜きで一緒に過ごした人々だ。サークル活動だったり、バイトだったり、むしろ勉強以外を通じて出来た仲間のほうが多いだろう。生涯の友が見つかる可能性も高く、心のよりどころとなる。
一方、何かしらの明確な目的をもって学ぶ社会人大学院の友人にはプラクティカルな相談事をすることが多い。アドバイスをもらったり、人を紹介されたり、はたまた一緒にやってみたりと、何かしらのヘルプを得ることが多い。
社会人を中断して、または並行してまでアカデミックに学ぶのは「それなりの覚悟」をもってみな臨んた人々。志が同じというのはつくづくよいものだと感じる。
そしてその仲間は、授業を一緒に学ぶ仲間だけではない。学部時代は、ちょっと雲の向こうの人だった教授陣も、今や対等・・・までは行かなくても一緒に何かを実現する仲間になりえる。
そして、「学生」という立場だからこそ、相手の好意も得やすく、今まで会えなかったような方にコンタクトをとれることも多い。
3. 実現したいことを見つけにいくこと、実現する手段を得ること
社会人をやっていて、何の問題もないのなら、わざわざ大学院には行かない。何かしらの課題意識があったから、大学院に学びに来ているのだ。明快な課題意識がある人もいれば、「このままではいけない」というレベルの意識の人もいる。皆それぞれ、これから自分の人生の時間やエネルギーを注ぐものを見つけに行くのだ。そして、見つけるだけでなく、それを実現するための武器を身につけにいくのだ。ところが武器の使い方を手取り足とりまで教えてはくれないものだ。この武器をどうやって使うのか、そこまで意識を巡らせて学ばないと、宝の持ち腐れになりやすい。武器の使い方は「仲間」がヒントをくれることが多い。
手に入れたいものの比重は、年齢を重ねるほど1=>2=>3とシフトする。
私がビジネススクールに留学したのはまさしく1を実現するためだった。当時は転職する気がなかったので、新しい就職先のパスポートは求めていなかったが、経営者になるためのパスポートを求めていた。