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ケーススタディ:アップルがスティーブジョブズを追い出しジョン・スカリーにまかせた判断

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偉大なる天才、スティーブ・ジョブズがこの世を去った。
亡くなってますます伝説の人となったが、経営者としては毀誉褒貶が激しい。一度もお会いしたこともなく、マスメディアを通してしか彼を知らない私が語るのはおこがましいが、それでも、ビジネススクールでの勉強の思い出として彼を語りたい。

私の人生で一番彼のことを一生懸命考えたのは、1990年代前半のケロッグビジネススクールのでのケーススタディでだ。たぶんあの頃の彼の世間の評価は最悪だったと思う。

ビジネススクールのケーススタディとは、20~30ページの冊子に書かれている実際の事例をベースに、もしあなたが当事者だったらどうするのか?とクラスメートで議論をするのである。

「創業者のスティーブ・ジョブズを追い出しペプシコから来たジョン・スカリーに経営をまかせたアップルの判断は、正しかったのか?」が授業のテーマであった。20年も前のことなので、詳細な議論はもちろん覚えていないのだが、それでもいくつか衝撃を受けた。

★創業者でも全く安泰でない事実★
スティーブ・ジョブズは自分がスカウトしたジョン・スカリーにアップルを追い出されたのだが、まず、その事実に大変びっくりした。当時の日本には、執行とガバナンスの機能が分かれている会社はほとんどなく、ピンとこなかったのだ。自分が作った会社から追い出されるって、どういう気持ちだろう??20代の私は、経営に携わった経験もなく、全く想像がつかない世界であった。ただただ、アメリカビジネス社会のダイナミクスに圧倒された。

★経営者になりたいという熱意★
クラスの討論で、「スティーブ・ジョブズを追い出すなんて、アップルはCrazyだ!」と熱弁したクラスメートの発言をよく覚えている。
しかしながら、クラスの大多数は「ステイーブ・ジョブズは偉大なる創業者に違いないが、アップルを大企業へ発展させるには向いていない。これからのアップルにはジョン・スカリーのように経営のプロが必要だ」というふうであったと記憶している。(ここら辺の心理状態は後日別エントリーで書きたい)ちょっと感傷的になっていた私は、いやー、みんなドライだなぁと思った(笑)母国語でない英語の会話を聞いていたせいもあるが、皆の意欲にも圧倒された。スティーブ・ジョブズが支えきれなかったアップルを、私も経営者として立て直したい!のような願望、野心。

その後、アップルがスティーブ・ジョブズを再び必要としたのは、皆さんご存じのとおり。

今の私には、それはアップルという企業の成長の歴史のようにも思える。
大きくなったアップルは1985年にはスティーブ・ジョブズの手の内に入らなくなった。
しかし、その後さらに成長した1996年のアップルは、スティーブ・ジョブズを受け入れ、進化出来るくらい成長した(経験を積んだ)のだと。

カリスマ経営者がいなくなった。しかしながら、カリスマ経営者が成長させたアップルは、スティーブ・ジョブズがいなくなっても成長し続けると信じたい。

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