DevOps Day で再確認できた Microsoft の「原点」
先週の29日、Microsoft & GitHub DevOps Day2022がオンラインで開催されました。そのアーカイブを見ているのですが、普段忘れがちな「Microsoftの原点」について改めて思い出す機会となりました。
まだ全体をつまみ食い程度にしか見ていないのですが、4年前に買収したGitHubとAzureが相乗効果を発揮し始めていて、「そうか、MicrosoftはこれをやりたくてGitHubを買収したのか」と、納得できたのです。そして、これこそがMicrosoftの原点だったよな、ということを思い出しました。
これは2017年の記事ですが、Microsoftの現CEOのサティア・ナデラ氏がCEOに就任した2014年のことを書いています。その中で、ナデラ氏はCEOに就任した際に、Microsoftの存在意義について自問自答したと書かれています。そして「わが社は、他の人がテクノロジを生み出すためのテクノロジを作る会社なのだ」ということに気づき、以下の結論に達したというのです。
地球上のあらゆる場所にいる人々や組織に、もっと多くのことができる力を提供すること。それが、私たちのキーワードだ。重要なのはわが社のテクノロジではなく、わが社のテクノロジで、他の人は何ができるかだ
これこそが、Microsoftが創業以来大切にしてきた理念だったのです。ソフトウェアベンダーであるMicrosoftにとって、それはソフトウェア開発者のサポートということです。
GitHubの買収と連携は早い時期から検討されていた
今回ブログを書くにあたっていろいろ検索していたら、興味深い記事を見つけました。
MicrosoftがGitHubの買収を発表したのは2018年6月でしたが、GitHub買収の検討は2016年前半にすでに始まっていたということなのです。
ナデラ氏は「彼ら(ギットハブ)は我々(マイクロソフト)を選んでくれるだろうか。我々にそれだけの信頼があるだろうか?」という懸念を抱いていた、と書かれていますが、それも無理のないことで、それまでMicrosoftとオープンソースは、犬猿の仲、水と油という言葉でしか語れないような関係にありました。MicrosoftがGitHubを買収すると発表したとき、オープンソースコミュニティは反発し、行く末を懸念する記事も沢山出ました。
タイトルそのものがあまり良い印象を与えませんが、記事の中でも「肝心のコミュニティの離反というリスクも潜んでいる」と書いています。この買収はそれくらいに衝撃的だったのです。
しかし、ナデラ氏は就任後間もなくから、オープンソースとの関係を改善しようとしていたのです。2015年に氏が発信した「Microsoft Loves Linux」というステートメントは大きな話題を呼びました。これも、氏が就任に際して自問自答して得た答えがベースになっているのでしょう。
ソフトウェアの重要性を再認識したMicrosoft
今回特に、最初のセッションの冒頭のスライドで、「Software is Eating the World」という言葉が使われているのが印象深かったです。この言葉は、NetScape(FireFoxの前身)を開発したMarc Andreessenが2011年に使った言葉です。ウォールストリートジャーナルに寄稿された手記には、
古いビジネスモデルに基づいた産業が、ソフトウェアの登場によってビジネス転換を余儀なくされ、その「ソフトウェア化」の波に乗れない企業は廃業に追い込まれている構図を鮮明に描いて
いるということです。10年以上前の寄稿文ですが、これを読んでみると、見事に現在の状況を見通しています。寄稿にはこう書かれています。
あらゆる産業において各社は、ソフトウェア革命がやってきていることを想定する必要がある。これには、今現在ソフトウェア・ベースである産業も含まれる。Oracle社やMicrosoft社など、既存のソフトウェア大企業ですら、Salesforce.comやAndroid(特にGoogle社が大規模ハンドセット製造会社を保有している世界では)といった新しいソフトウェアの出現によって、自社製品が陳腐化してしまうという危機にますます脅かされている。
この「ソフトウェア革命」は、今では「デジタルトランスフォーメーション」に置き換えることができます。DXがデジタル革命である以上、デジタルを支えているソフトウェアこそが、企業の差別化の原動力となることは自明のことだったのでしょう。
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