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コモディティ化する AI ~そのメリットとリスク

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ものすごい勢いで進化を続けているAIですが、最先端の技術がどんどん進化するに従い、一般向けのコモディティ化も進んでいます。

オンラインショップのレコメンデーションからGoogle検索まで、今やAIを使っていないWebサービスは見当たらないほどに一般化しており、これもコモディティ化と言えるかと思いますが、これらは最先端の研究成果をAIのプロがサービスに組み込んでいる例です。しかし、ついに個人が自分用に使えるAIサービスの時代がやってこようとしているようです。

これから個人でも、会社でも、誰もが自身のためのAIを持てるようになる時代が来る模様

これまでも、プラットフォーマーや大手企業、研究者がトレーニングしたAIモデルを自由に流通させようとする試みは始まっていました。しかし、これらは用途や条件が限られていて、使いこなすためにはある程度の専門知識が必要だったようです。プロが作り実証されたモデルを、その技術的背景を理解したプロが使う、という構図だったわけです。汎用性を持ったモデルであれば、皆が同じ物を作るために同じ試行錯誤を重ねる時間を節約できるという意味では重要ですが、一般的な個人がそれを自分のために使うのはハードルが高かったのです。

job_technical_evangelist_ai_man.pngAI研究の最先端では、熾烈な開発競争が繰り広げられており、米国や中国がその覇権を競っています。日本は、かつてはAIでも存在感を示していましたが、今では人材的にも予算的にも世界の最先端で闘うことはできていないと言われています。しかし、上に書いたように、最先端ではなく、ある程度一般化されて使いやすくなったAIサービスをさらに使いやすくしてコンシューマに提供できる環境が整ってくると、それを一般ユーザーに提供する部分の作り込みが重要になってきます。このあたりは、日本のかつての強みが活かせる時代になった、とも言えるのではないでしょうか。先端技術で闘って欲しいという気持ちはありますが、得意分野で強みを発揮するのも大事です。

AIのコモディティ化には注意も必要

ただ、AIのコモディティ化が良いことだけかというと、やはりそう楽観ばかりもしていられません。影響が大きいからこそ、慎重に考えなければならないことも沢山有るからです。例えば、最初の記事の中でも触れられていますが、

世界変革の前夜は思ったより静か

これは今年8月の記事ですが、「あと数日(から数週間)で「トップレベルの画像生成AI」が、世界中にフリーで配布される。」とあります。

イラスト、マンガはおろか3D CGや建築、動画、映像...果てはフェイクニュースからポルノまで...あらゆる創作に携わる全ての人を巻き込む、歴史的な転換点が訪れようとしている。

記事を見ていただければわかると思いますが、人間が書いたものと遜色ない(というか、ほとんどの人間が描けるものよりも優れている)画像が、いくつかのパラメータを指定するだけで、誰にでも作れてしまうのです。しかも、このAIが「ソースコードからモデルまで、景気よく世界に全公開される」のだそうです。

しかし、こういったAIが公開されることのリスクは数年前から指摘されており、実際にはできたけれども公開されていない、というものも多いのです。

こういった超AIは、OpenAI(DALL-E2)やGoogle(Imagen)など、メガベンチャーが総力をあげて開発したものの、「社会への影響が大きすぎる」として、一般には公開されてこなかった経緯がある。

今回は、開発主体が全公開を選択したと言うことで、この影響がどのようなものになるのかが注目されます。このブログでも、この記事でも触れられているMidJourneyを使った絵画が美術品評会で1位を取ってしまった、という記事をつい先日取り上げたばかりです。

創造性とは何か? ~AI が突きつける究極の問い

上の記事では、今回公開されたAIは「MidJourneyよりも高性能」と書かれています。今後アートコンテストのような催しでは、「制作過程において、コンピュータを一切使用していないこと」という条件が追加されるようになるのかも知れません。AIのコモディティ化は、こういった丁寧なステップを重ねて行くことで実現していかなければならないのでしょう。

 

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